2021 Fiscal Year Research-status Report
HMGB1を標的とした癌の骨破壊病変に対する制御機構の解明
Project/Area Number |
21K17090
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂本 裕美 岡山大学, 大学病院, 医員 (80899352)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 口腔癌 / 癌骨破壊 / HMGB1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では癌の骨破壊病変とHMGB1との関連を明らかにするため,臨床材料や疾患モデルの作製により,その作用機序と有効性を解析していくことを目的に研究を進めていく. 2021年度は,口腔癌の顎骨浸潤様式とHMGB1発現レベルとの関連性を検討するため,顎骨浸潤を認める歯肉癌症例の切除標本を用いて免疫組織学的に探索することとし,使用する症例の選択と予備実験を行った.骨破壊の程度に伴い,HMGB1の発現が亢進する傾向があり,腫瘍進行度とHMGB1の発現が相関するか症例数を追加して検討中である.また,HMGB1の発現亢進と治療成績の相関があるかを検討するため,統計学的検証を加えていく予定である.骨吸収促進因子や血管新生因子との関連性についても免疫組織染色を行い,検討中である. 癌骨微小環境を構成する細胞群に対してHMGB1が与える影響については,癌細胞の浸潤能や血管新生への影響,知覚神経細胞への影響を中心に検討することとした.ヒト扁平上皮癌細胞株,血管内皮細胞,知覚神経細胞をそれぞれ使用し,HMGB1中和抗体やアンタゴニストを添加することでの影響の検証を順次行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は新規課題であり,研究計画の立案や体制作りに時間を要した.使用予定細胞の入手ルートの検索やCOVID-19感染症蔓延に伴い,海外から輸入が必要な抗体や試薬の納入に時間がかかり,実験遂行に遅れが出た.
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度は研究計画の立案や体制作りのため全体の進捗状況がやや遅れ気味となったが,次年度は動物実験を主として進めていく予定としている.細胞株の入手にも目処がついており,高カルシウム血症モデルの作製と癌骨破壊モデルの作製を行い,本研究課題の癌の骨破壊病変とHMGB1の影響を検討していく. また,前年度に引き続き口腔癌の顎骨浸潤症例の免疫組織染色の結果を検証していき,予後との相関性の解析についても検討する.
|
Causes of Carryover |
動物実験に必要な抗体や試薬,飼育費や施設利用費などの経費分を今年度使用しなかったため,次年度に繰り越しした.
|