2021 Fiscal Year Research-status Report
末梢組織損傷部位のスフィンゴシン1リン酸は神経障害性疼痛の発生に関与するか
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21K17109
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
金丸 博子 (塚田博子) 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30464019)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スフィンゴシン1リン酸 / 末梢神経 / 慢性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
スフィンゴシン1リン酸は膜成分であるスフィンゴ脂質が損傷を契機に代謝されて生ずる脂質メディエーターであり、中枢神経の海馬では外部からのスフィンゴシン1リン酸による刺激が神経細胞の持続的な興奮を惹起することが報告されている。この持続的興奮は脱分極によらない神経の自然発火現象や異常興奮との関連が示唆されている。損傷を受けた末梢神経でも同様の現象が生じるとすれば、スフィンゴシン1リン酸による末梢感覚神経の持続的な興奮が上位の中枢神経の可塑性変化をもたらし、最終的に慢性疼痛を生じさせている可能性がある。組織損傷後に発生する慢性疼痛はしばしば難治性であり臨床対応に苦慮するが、末梢組織に起因した疼痛発生メカニズムを解明できれば、慢性疼痛発生の予防という新たな治療法の開発につながると考えられる。 本研究は末梢の感覚神経である脊髄後根神経節から得られた培養神経細胞を使用し、外部からのS1P刺激が末梢神経細胞の興奮を惹起すること、また末梢神経細胞の異常興奮が疼痛発生に関与する可能性について検討することを目的としている。令和3年度はラットの脊髄後根神経節を取り出し、培養神経細胞を樹立する手技を取得した。培養した神経細胞への外部からのスフィンゴシン1リン酸の刺激に対する細胞応答は、神経伝達物質の放出を測定することにより解析する方針であったが、予備データが得られたのみであり、これについては今後更なる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットの脊髄後根神経節から培養神経細胞を樹立することができたが、スフィンゴシン1リン酸投与による刺激に対する細胞応答については、予備データが得られたのみであり、十分に検討できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き培養神経細胞を用いて、スフィンゴシン1リン酸の投与によって神経細胞興奮が惹起されることを明らかとする。神経細胞の興奮は神経伝達物質の放出については生化学的手法または免疫組織学的手法による解析を行う方針とする。
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Causes of Carryover |
(理由)既存の試薬や設備を利用することで必要経費を抑えられた。今年度の人件費は不要であり、また情報収集のための学会はオンライン開催であり、旅費が抑えられたため。 (使用計画)実験動物および抗体や試薬の購入に使用する。また学会発表や情報収集のための旅費として計上する。
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