2021 Fiscal Year Research-status Report
歯周病菌由来「細胞外小胞」がつなぐ母体ー胎児新規コミュニケーションの解明
Project/Area Number |
21K17211
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福原 瑶子 (内田瑶子) 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (60779742)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨格形成 / 歯周病原菌 / 細胞外小胞 / 胎児発育 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎生期において,胎児は「胎盤」を介して母体側と栄養や代謝物,ガスの交換を行っている.近年,母体の口腔環境が胎児の成長発育と疾患発症に関与することが分かってきたが,その詳細なメカニズムは不明である.本研究は,歯周病菌由来の「細胞外小胞」が胎盤組織に与える影響に着目し,胎児の健全な成長発育に理想的な母体口腔環境を確立することを目指す.具体的には,歯周病菌由来の「細胞外小胞」について、①胎盤に移行するか②胎盤組織にどのような影響を与えるか③胎児の骨格形成や骨関連細胞の機能に影響するか、を明らかにする。本年度は,まず、妊娠マウスにおける歯周病原菌由来『細胞外分泌小胞』が胎盤を含む各臓器への移行するか、について解析した。歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』を蛍光標識し,妊娠18日目のマウスの尾静脈に投与し,胎盤への移行を調べた。その結果、母体側では胎盤を含む各臓器と、胎児において,赤色蛍光が検出された。まさらに、歯周病原菌を感染させたマクロファージから採取した『細胞外分泌小胞』を用いて同様の実験を行った結果,検出される蛍光強度の強さと胎盤および胎児の形成障害の度合いは、歯周病原菌感染マクロファージ由来『細胞外分泌小胞』のほうが歯周病原菌由来『細胞外分泌小胞』よりも強かった。以上の結果より,歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』は胎盤および胎児に移行・形成を阻害すること、さらに歯周病原菌は一度宿主側の細胞を隠れ蓑とすると、本来持つ障害性をさらに増強することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,まず、妊娠マウスにおける歯周病原菌由来『細胞外分泌小胞』が胎盤を含む各臓器への移行するか、について解析した。歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』を蛍光標識し,妊娠18日目のマウスの尾静脈に投与し,胎盤への移行を調べた。その結果、母体側では胎盤を含む各臓器と、胎児において,赤色蛍光が検出された。まさらに、歯周病原菌を感染させたマクロファージから採取した『細胞外分泌小胞』を用いて同様の実験を行った結果,検出される蛍光強度の強さと胎盤および胎児の形成障害の度合いは、歯周病原菌感染マクロファージ由来『細胞外分泌小胞』のほうが歯周病原菌由来『細胞外分泌小胞』よりも強かった。以上の結果より,歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』は胎盤および胎児に移行・形成を阻害すること、さらに歯周病原菌は一度宿主側の細胞を隠れ蓑とすると、本来持つ障害性をさらに増強することが示唆された。 以上により、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は以下の点について解析を行う。 ・歯周病菌由来の「細胞外小胞」が胎盤組織にどのような影響を与えるか? ・歯周病菌由来の「細胞外小胞」は胎児の骨格形成や骨関連細胞の機能に影響するか?
胎盤に関しては組織学的に解析し,正常組織と比較検討する.具体的には,マウスから胎盤を摘出し,組織切片を作製後,HE染色,マッソントリクローム染色を行い,胎盤の組織・細胞および細胞外基質などに形態的変化がないか調べる。遺伝子・タンパク質レベルにおいても解析を進める予定にしている。胎児の骨格については透明標本を作製し、通常の胎児群と歯周病原菌由来『細胞外分泌小胞』に影響を受けた胎児群で骨格形成の比較を行う。さらに初代骨関連細胞の単離培養を行い、遺伝子・タンパク質レベルで解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初の計画通り研究はおおむね順調に推移しているが端数が生じた。次年度の解析実施予定は前年度よりも多く検討しているため、前年度繰り越し分は次年度への解析費用にする。
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