2022 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎不全患者のQALYを用いた腎代替療法選択の新たなエビデンスの創出
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21K17234
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
矢部 広樹 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 准教授 (40780664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 慢性腎不全 / 腎代替療法 / QOL / QALY |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、各腎代替療法におけるQOL・QALYを示し、その関連要因を検討することであり、本年度は腹膜透析患者と長時間透析患者におけるQOLを調査・検討し、学会発表を行った。 65歳以上のPD患者27例(年齢75.2±6.8歳)に対し、QOLの評価としてEuroQol 5-dimensions 5-levels (EQ-5D)を測定した。また、その後半年毎にEQ-5Dを2回測定できた対象は、1年間のQALYを算出した。統計学的検討として、EQ-5DおよびQALYと、各測定値との関連を、Spearmanの順位相関係数にて検討した。またEQ-5Dは、単相関分析で有意であった項目に対して重回帰分析を実施した。EQ-5Dは0.88±0.15であり、6分間歩行距離(r=0.55)、10m歩行速度(r=0.67)、FIM運動項目(r=0.53)が有意に関連した(p<0.05)。その他の指標とは関連を認めなかった。重回帰分析の結果、FIM運動項目のみがEQ-5Dに有意に関連した(R2=0.85、p<0.05)。またEQ-5Dの1年間の追跡が可能であった13例のQALYは0.9±0.1であり、10m歩行速度(r=0.67)、FIM運動項目(r=0.7)、FIM全項目合計(r=0.57)が有意に関連していた(p<0.05)。高齢のPD患者におけるQOLとQALYには、腎機能や栄養・貧血の状態よりも身体機能とADLが関連したことから、透析状況や栄養管理が一定の状況にあれば、QOLの維持・向上のためには身体機能とADLの評価・介入が重要であることが示された。 また長時間透析患者においては42名の患者の調査を実施した。また就労中の患者においては、QOLへ与える影響が大きい就労機能障害についても調査し、関連要因を検討した。その他、血液透析患者についても、調査を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長時間透析患者と腹膜透析患者のQOL測定を実施し、血液透析患者のQOLの追跡も継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、保存期腎不全患者と長時間透析患者においては、QOLの追跡が困難になる可能性が高く、血液透析患者と腹膜透析患者を中心に調査を継続している。
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Causes of Carryover |
研究成果の論文執筆まで至らず、打ち合わせや英文校正等の費用で次年度使用額が生じた。次年度の研究の中で、論文執筆の際に執行していく。
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