2023 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎不全患者のQALYを用いた腎代替療法選択の新たなエビデンスの創出
Project/Area Number |
21K17234
|
Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
矢部 広樹 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 准教授 (40780664)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | QOL / 腎代替療法 / 慢性腎不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、各腎代替療法におけるQOL・QALYを示し、その関連要因を検討することであり、本年度はオーバーナイト透析患者、血液透析患者と在宅血液透析患者におけるQOLに関連する要因を調査・検討した。 就労中のオーバーナイト血液透析患者42人を対象に、プレゼンティーイズムを作業機能障害尺度(WFun)、就労状況、運動習慣、運動自己効力感(SE)を用いて測定した。結果 WFunスコアは12.5±6.3点であり、軽度のプレゼンティーイズム患者は12名(28.6%)、中等度は2名(4.8%)、重度は1名(2.4%)であった。交絡因子で調整した重回帰分析の結果、WFunは運動SE低下(r = -0.32)および正規化蛋白異化率(r = 0.31)と有意な関係を示した。 また血液透析患者596人の患者を対象とし、6カ月間の透析中運動療法の前後で、QOL、握力、等尺性膝伸展筋力、10m歩行速度、Short Physical Performance Battery(SPPB)、透析関連症状の改善を測定した。身体機能の改善と透析関連症状の改善がQOLの改善に及ぼす影響を分析した。結果、QOLの改善に影響を及ぼす身体機能指標として、SPPBのみが有意な項目として示された。さらに、身体状態の改善と歩行距離の延長を伴う透析関連症状の改善の自覚は、QOLの改善に有意な影響を与えた。 在宅血液透析患者においては、日本のHHD施設150施設のHHD患者の介護者を対象にしたアンケート調査から、HHDの継続意欲に関連する要因を検討した。結果、HHDの継続に前向きな介護者と、そうでない介助者の間でQOLに有意差はみられなかったが、HHDの継続に前向きな介護者は、レスパイト外来透析を受ける可能性が有意に高く、医療従事者から説明されたHHDの仕組みについてよりよく理解していることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
保存期腎不全患者、血液透析患者、オーバーナイト透析患者、在宅血液透析患者、腹膜透析患者について、データを測定し解析を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
データ解析を進め、学会発表と論文の執筆を進める。
|
Causes of Carryover |
発表予定であった国際学会に、諸事情により参加が困難となってしまったため、それに係る経費が次年度使用額として生じた。2024年度に国際学会へ参加・発表を行う予定である。
|