2023 Fiscal Year Annual Research Report
蝸牛・前庭器官・半規管および体性感覚の寄与を区別した低周波音の受容特性の解明
Project/Area Number |
21K17265
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田鎖 順太 北海道大学, 工学研究院, 助教 (40791497)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 音響心理実験 / 低周波音 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,低周波音に対するヒトの反応について,音響心理学的測定法および客観的な測定法を用いて測定を試み,その需要機序に関する示唆を得ることを目的とした。 研究成果は,主として音響心理学的測定によって得られた。低周波音では「振動感」があることが既存の研究で報告されていたことから,実験室環境において,様々な周波数・音圧レベルの音を被験者に繰り返し曝露し,振動感の強さを主観的に評価した。ここで,振動感の有無に関する評価も試みたが,聴感覚との分別が被験者にとってきわめて困難であったため,相対的な強さの評価を行うこととした。実験は,周波数やレベルの異なる2つの純音を被験者に曝露し,それらの音の振動感の強さが等しくなるように,被験者に周波数やレベルを調整させた。このとき,音圧レベルもしくはラウドネスが一定になる様に波形を調整した。実験周波数は25~200Hzであり,被験者は19~26歳の男女21名であった。この様にして得られた周波数-音圧レベル平面上の「等振動感曲線」は,多くの被験者において,40Hz付近に極小値を持つV字型の形状であった。しかし,1/3程度の被験者においては,音の周波数を調整するかレベルを調整するかによって結果が大きく異なった。「振動感の強さ」の知覚であっても,被験者にとっての分別が困難であったことが示唆された。 最終年度においては,低周波音による反応の客観的な測定のため,アイトラッカーを用いた瞳孔径の測定を試みた。既存の研究では,音刺激による瞳孔径の変化が報告されていた。しかし,実験室環境における純音の曝露では,瞳孔径の変化は確認できず,したがって音曝露に対する反応の客観的な測定に至らなかった。 また,実際に低周波音による睡眠影響を訴えている住民の自宅における騒音測定を通じ,反応に寄与する周波数成分の特定を試みた。しかし,音環境に顕著な特徴は見いだせなかった
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