2022 Fiscal Year Research-status Report
The effects of PFASs on neural differentiation
Project/Area Number |
21K17266
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
藤原 悠基 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20881220)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | PFAS / 神経分化 / 脳発達 / 血液脳関門 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は工業用に使用され、その蓄積性から次世代への曝露影響が懸念される、有機フッ素化合物類(PFASs)によるヒト中枢神経系分化・発達への影響を解析 する。これまで、実験動物を用いた研究から、周産期のPFAS曝露が中枢神経系の発育・発達を阻害する可能性が報告されているが、ヒトの周産期PFASs曝露による影響は明らかでない。また、中枢神経系の分化・発達と同時期に構築され始める血液脳関門(BBB)への影響を検討した報告は少なく明らかでない。以上から、 PFASs曝露による影響を「ヒト胎児由来神経前駆細胞株を用いた神経分化」、「BBB透過性及び機能」の2点から評価することで、PFAS曝露による胎児脳神経系の 発達、発育への影響とその機序の解明を目指す。 本年度においては、血液脳関門を模したBBBキットを用いた実験を行った。BBBキットが未成熟段階を胎児期と模し、その期間において、PFASsであるパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びパーフルオロオクタン酸(PFOA)の曝露を行いBBBの発達と機能への影響の検討を行い、今まで得られていない新知見を得られている。また、経内皮電気抵抗値が規定値以上となったBBBキットを成人期モデルとして胎児期モデルと同様にPFASsの曝露を行った。その結果、曝露用量および曝露時間によっては、今まで得られていなかった新たな結果が得られた。神経前駆細胞株に対して、PFASsであるパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びパーフルオロオクタン酸(PFOA)を設定した曝露時間および曝露用量で曝露を行った。得られたサンプルを用いて、細胞毒性試験および細胞増殖試験ならびに分子生物学的手法を用いて神経分化に対する検証を行い、メカニズムについての検討を続けている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究を順調に実施することができ、PFASsの神経分化及び血液脳関門機能に影響を与える可能性が考えられる結果が得られている。しかし、影響を与えるメカニズムについては詳細な検討が進んでいないことから、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
PFASによる神経分化及び血液脳関門機能への影響について曝露期間や曝露タイミングによる差がないか検討していくことに加えて、影響を与えることが明らかである場合そのメカニズムについて様々な分子生物学的手法を用いて明らかにしていく。また、BBBへの影響について種特異性がある可能性を疑い、ヒトiPS細胞由来であるBBBモデルを使用してさらに検証を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
年度末に予定をしていた研究の実施が細胞培養の状況によって困難となったため生じた。年度末に実施を予定を本年度に行う予定としている。
|