2021 Fiscal Year Research-status Report
精神科看護師の「看取り」を支援する教育プログラムの開発と検証
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21K17379
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
荒井 春生 京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (60406246)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 精神科病院 / がん / 看取り / 教育 / 看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年の調査 厚生労働省(2018)の医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況から、都道府県別にみて、精神科病床数が最も多い鹿児島県(590.3床)の単科精神科病院で精神障がい者を看取った看護師13人に聴き取り調査を行った。調査の結果、看護師の概要は以下であった。①性別は女性11人、男性2人。②年齢は女性37.4±13.2歳、男性45.3±5.7歳であった。③総合病院の臨床経験が有と回答した人は8/13人、総合病院の臨床経験年数は5.7±6.8年であった。④精神科病院の臨床経験年数は17.4±5.1年、⑤看護師の教育背景は看護専門学校12/13人、准看護師学校1/13人であった。⑥所属は急性期病棟5/13人、慢性期病棟5/13人、療養病棟3/13人であった。さらに、看護師ががんを合併した精神障がい者を看取る中での困難感について聞き取り調査を行った。その結果、困難感については、精神障がい者のがんの痛みと程度の曖昧さ、吸引やタッピングなどの技術不足、モニター管理をする上での知識不足、がんと精神症状の情報を統合することの難しさ、責任の所在の不明確さ、がん看護への不安、精神障がい者とその家族の関係性の悪化、死後の処置に対する経験不足などが挙げられた。その一方、看取るまでの達成感については、患者と共に歩んで看取った安堵感、家族のような関係、自己洞察の深まり、生命の大切さ、人として関わる看護観などが挙げられた。 これらの調査結果を基礎資料として、2022年度は対象地域や対象数を拡大してさらなる知見を得る。また海外での調査をできうる限り取り組んでいく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年の調査は、Covid-19の影響により病院での調査が一時中断した。短期間での調査となり様々な規制があった。今後も万全な体制と配慮をしながら継続していく。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年:ブータンのフィールド調査を予定している。しかしながら、現在ブータン王国においては日本からの入国を禁止している状況である。Covid-19の状況が改善すれば、鹿児島県の訪問看護システムと共通性の高いブータン王国ティンプー地域のコミュニティメンタルヘルスケアナースに同伴して、フィールド調査を実施する。調査の内容は、精神障がい者を支援する専門職の役割、支援の取り組み方法、精神障がい者の満足度や生活困難度を中心に、「看取り」を可能にしている要因を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2021年度は研究を進めるにあたって必要なパソコン、質的分析ソフトの出費が重なった。また、調査結果の一部を国内外の学会で発表したため学会登録費用や旅費の出費が多くなったが、実りある調査を公表して新たな知見を得ることができた。2022年度は学会発表の回数や登録費用を再考する予定である。
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Research Products
(8 results)