2023 Fiscal Year Annual Research Report
助産師による産前・出産・産後を通した継続ケアモデルに関する調査研究
Project/Area Number |
21K17383
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
ドーリング 景子 京都大学, 医学研究科, 助教 (10839111)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 助産ケア / 継続ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本における同一助産師または少人数の助産師チームによる産前・出産・産後を通した継続ケア(MCOC: Midwifery Continuity of Carer)モデルの実施状況について質問紙およびインタビューによる調査を行った。質問紙調査は、全国の出産施設を対象に行い、895施設(有効回答率28.8%)から回答を得て分析を行なった。その結果、2021年にMCOCを実施していた施設は、病院25.8%(107/415)、診療所13.8%(41/297)、助産所91.3%(167/183)、全体では35.2%(315/895) であった。さらに、質問紙調査から施設におけるMCOCの実施形態(方法や条件、助産師の働き方等)が明らかとなった。MCOCの実施理由は、「妊婦にとって利点がある」が最も多く、実施を困難にする要因として「助産師の勤務体制」や「助産師の不足」が多くみられた。検定では、院内助産の実施とMCOC実施の間に有意な関連がみられた。 また、MCOCを行なっている病院・診療所・助産所において助産師を中心にインタビュー調査を行い、MCOCの実施状況の詳細や実施上の課題等について質的データを収集した。現在、最終段階としてインタビュー分析を行い、研究結果を発表する準備段階である。さらに、本研究結果をもとに、今後、日本で実現可能なMCOCモデルを提案する。 MCOCは、出産の安全やケアの質を向上させ、女性のポジティブな出産体験につながる等、妊産婦やその児にとって重要なケアモデルである。これまで日本におけるMCOC実施の実態を明らかにした研究はみられず、本研究結果が、今後、日本でMCOCモデルを展開する際の参考資料となり、日本でのMCOCの普及・拡大、ひいては女性のポジティブな出産体験に貢献することが期待される。
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