2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the molecular mechanism of the effect of androgens on the maintenance and the hypertrophy of skeletal muscle mass.
Project/Area Number |
21K17568
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
酒井 大史 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 助教 (00820804)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | アンドロゲン / アンドロゲン受容体 / 骨格筋 / 間葉系前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、間葉系前駆細胞特異的に、アンドロゲン受容体を欠損させたマウスを作出し、その表現型を解析すると同時に、骨格筋間葉系前駆細胞でのアンドロゲン標的遺伝子を同定し、その機能から骨格筋組織でのアンドロゲン作用の分子メカニズムを明らかにすることである。まず、間葉系前駆細胞特異的にタモキシフェン誘導型のCreを発現するマウス(PDGFRα-CreER,)と、AR floxマウス(ARf/+)との交配により、間葉系前駆細胞特異的AR欠損マウス(PDGFRα-CreER;ARf/y)を作出した。また、同腹のマウスからコントロール群としてPDGFRα-CreERマウスを使用した。実験では、雄マウスのみを使用した。このマウス群に対して、3ヶ月齢時に、タモキシフェンを腹腔内投与することで、PDGFRα陽性細胞特異的に、AR遺伝子欠損を誘導した。筋力測定の後、後肢の各種骨格筋を採取し、筋重量を測定後、凍結サンプルならびに凍結切片を作成した。しかしながら、筋力、間葉系前駆細胞のマーカであるPDGFRα陽性細胞数、ならびに横断面積に、差は見られなかった。間葉系前駆細胞は、骨格筋組織内での脂肪細胞の起源であることが知られている。そこで、骨格筋組織内で脂肪細胞を誘導するため、グリセリンを筋肉内に投与した。その後、脂肪膜を特異的マーカであるPLIN陽性の面積を定量したが、差が見られなかった。以上の結果から、骨格筋間葉系前駆細胞でのアンドロゲン受容体の機能は、定常状態ならびに脂肪誘導状態に対して、限定的であると推察される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に、実験が進行したため、定常状態の骨格筋の評価だけでなく、脂肪誘導を行った骨格筋の評価も行った。 (1) 間葉系前駆細胞特異的AR遺伝子欠損マウスの作出ならびに定常状態の骨格筋の評価 予定通り、間葉系前駆細胞特異的にタモキシフェン誘導型のCreを発現するマウス、AR floxマウスとの交配により、間葉系前駆細胞特異的AR欠損マウス(PDGFRα-CreER;ARf/y)を作出した。コントロールマウスのPDGFRα-CreERマウスと比較して、PDGFRα-CreER;ARf/yマウスでは、球海綿体筋、肛門挙筋の重量が著しく減少していた。よって、PDGFRα-CreER;ARf/yマウスの作成は成功したと考えられる。このマウス群に対して、筋力測定の後、後肢の各種骨格筋を採取し、筋重量を測定後、凍結サンプルならびに凍結切片を作成した。 (2) PDGFRα-CreER;ARf/yマウスでの脂肪細胞誘導 定常状態の骨格筋だけでなく、脂肪細胞を誘導する条件における骨格筋も検討することができた。間葉系前駆細胞は、骨格筋組織内での脂肪細胞の起源であることが知られている。そこで、骨格筋組織内で脂肪細胞を誘導するため、グリセリンを筋肉内に投与した。その後、脂肪膜を特異的マーカであるPLIN陽性の面積を定量した
|
Strategy for Future Research Activity |
予定通り、骨格筋間葉系前駆細胞におけるAR標的遺伝子の同定を目的として、PDGFRα-CreERマウスならびにPDGFRα-CreER;ARf/yマウスから、骨格筋間葉系前駆細胞に特異的な表面マーカ(CD45-CD31-PDGFRα+)を染色することで、セルソータを用いてPDGFRα陽性細胞を単離細し、RNA-seqを行う。同時に、組織レベルでin situにChIP-seqと同等の解析が可能なChIL法を駆使して、骨格筋組織におけるARのゲノム結合領域を同定する。RNA-seqで得られる、PDGFRα-CreER;ARf/yマウスにおける発現減少遺伝子群あるいは発現増加遺伝子群と、ChIL-seqで得られるAR結合候補遺伝子群に共通する遺伝子を探索することで、骨格筋間葉系前駆細胞における、誘導的あるいは抑制的AR標的遺伝子を探索する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により、一時的に実験の進行が妨げられたことがあり、次年度使用額が生じた。
|