2023 Fiscal Year Annual Research Report
Background and antecedents of teachers' need-supportive teaching behaviour in physical education
Project/Area Number |
21K17626
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
寺岡 英晋 日本体育大学, スポーツ文化学部, 助教 (60874493)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 体育 / 中学校 / 教師行動 / 自己決定理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自己決定理論に基づいた教師の欲求支援・阻害行動と個人要因との関係を量的・質的に調査することが目的であった。目的の達成のため、全国の公立中学校の体育教師を対象に、オンラインでの質問紙調査とインタビュー調査を実施した。質問紙調査については、欠損値を含むデータを除いた295名(男性225名、女性70名)を最終的な分析対象とした。質問紙には、教師行動を測定する日本語版Situations-in-School-PE(SIS-PE)に加えて、個人特性を規定する変数として一般的因果志向性尺度と職場における基本的心理欲求の充足・不満尺度を含めた。インタビューには10名から参加協力を得た。最終年度においては、これまでに収集したデータの分析と成果発表に注力をした。 データ分析に先立って、日本語版SIS-PEの妥当性および信頼性を確認する必要があった。多次元尺度法による内的妥当性と確認的因子分析による因子的妥当性を検証した結果、原版から12項目を削除した8因子モデルを使用することで、妥当性の高い尺度になることが示された。内的整合性については、ひとつの因子で十分な数値が得られなかったが、これは原版での検証結果と同様であったため、日本語に翻訳したことで生じた問題ではなかったと推察された。 教師行動と個人特性との関連については、質問紙およびインタビュー調査の結果から、個人の行動の志向性と職場での良好な対人関係が、体育授業における欲求支援・阻害行動に重要な影響を与えている可能性が示された。理論上想定されていなかった結果としては、欲求支援行動に従事している教師ほど、職場での自己決定性に不満を感じていることが多い傾向にあった。これは日本の職場環境における階層構造に起因している可能性があることが推察された。教師行動スタイルに影響を与えている変数については引き続き検討を重ねていくことが求められる。
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