2021 Fiscal Year Research-status Report
観測密度を上回る高解像度の都市風況LESに対するデータ同化手法の開発
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21K17755
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
長谷川 雄太 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究職 (10851016)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 格子ボルツマン法 / アンサンブルデータ同化 / LETKF / GPU |
Outline of Annual Research Achievements |
格子ボルツマン法に基づくラージエディーシミュレーション(LES)に対するアンサンブルデータ同化の適用可能性を検討するため、2次元等方乱流の系、および、アンサンブルデータ同化手法として局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)をGPUに実装し、基礎的な精度検証を行った。 具体的には、2次元LBM、2次元等方乱流、LETKF等のGPU実装をフルスクラッチで行い、これらの実装は予定通り2021年度に完了した。この系では、小規模な密行列の固有値分解を多数並行に解く必要があるが、NVIDIA社のcuSOLVERライブラリを用いて実装することで計算を高速化した。計算時間は、例えば、NVIDIA A100 GPUにて16834個の64×64行列の固有値分解を解くのに1秒程度を要した。これは2次元等方乱流の計算としては十分な実行時間である。 現在、上記のGPU実装を用いて、2次元等方乱流のアンサンブルデータ同化の精度検証を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2次元等方乱流およびLETKFのGPU実装は予定通り2021年度に完了したが、一方で、データ同化の精度検証において計算結果の物理的な解釈に時間を要している。また、LETKFのGPU実装は、2次元等方乱流を計算するには十分な実行時間であるが、3次元の実計算に適用するには現在の10倍から100倍の更なる高速化が必要であることが発覚した。当初予定していなかった高速化実装が必要となったため、3次元の都市風況LESへのアンサンブルデータ同化の適用は、やや遅れる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
2次元等方乱流については、計算結果の物理的な解釈を急ぎ、2022度上期のなるべく早い時期に論文投稿する。計算の高速化実装についても2022年度上期中の完了を目指し、2022年度下期には当初予定していた3次元乱流計算へのアンサンブルデータ同化の適用を行う方針である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において学会発表のための出張が取りやめとなったため旅費が未使用となった。物品費として商用の3D地図データの購入にかかる費用を計上していたが、国交相のProject PLATEAUが登場し、無償で地図データを入手できるようになったことから購入が不要となった。使用計画は以下の通りである。(1) 未使用の旅費・その他費用の一部を論文のオープンアクセス料の支払いに充当する予定である。(2) 物品費して、研究開発用ノートPCの購入を予定している。(3) その他費用として、計算機(スパコン)使用料の支出を予定している。
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