2022 Fiscal Year Research-status Report
Changes in maternal blood mitochondrial DNA copy number due to exposure to environmental chemicals and their effects on children
Project/Area Number |
21K17891
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福永 久典 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (50781267)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA / 次世代影響 / 環境化学物質 / DOHaD |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアは、独自のゲノム(mtDNA)を有しており、ヒトの場合、16,569塩基対の環状多コピーゲノムとして一細胞当たり数十~数千コピーが存在し、母性遺伝する。しかし、このmtDNAコピーの複製・維持機構に関する分子メカニズムや、その生理的・病理的意義は依然として解明されていない。本研究は、mtDNAコピー数がどのように遺伝継承され、母の妊娠中の環境影響などにより子のmtDNAコピー数がどのように修飾され、出生時体重などに影響を及ぼすのか明らかにすることを目的とする。 2022年度は、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(以下、ToMMo)から分譲された「ToMMo三世代コホート調査」参加者の7人家族(父方祖父母、母方祖父母、父母、新生児)149組、合計1041名分の末梢血、臍帯血由来DNA試料から、mtDNAコピー数をリアルタイムPCR法を用いて測定した。我々の知る限り、本研究は1000名以上の三世代家族からmtDNAコピー数を測定した初めての分子疫学研究であり、mtDNAコピー数に関する年齢・性別の分布の詳細を明らかにすることができた。 今後、これらの測定結果から、mtDNAコピー数の家族内の遺伝的相関を検討する。また、妊娠中の環境化学物質曝露が新生児の出生時体重などに及ぼす次世代影響について解析を行うため、mtDNAコピー数と母親の妊娠前あるいは妊娠期間中の生活習慣(喫煙歴、飲酒歴、運動習慣など)、新生児の体格(出生時体重など)との相関も検討する。その成果は、ミトコンドリア遺伝学だけでなく、環境衛生学、周産期医学などの発展にも資するものと期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、2022年度中に1000人以上に及ぶDNA検体のmtDNAコピー数の測定が終了した。そして、三世代にわたる遺伝様式を詳細に検討するとともに、妊娠中の環境化学物質曝露が新生児の出生時体重などに及ぼす次世代影響について解析を開始することができた。 したがって、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、計画通り、mtDNAコピー数の家族内の遺伝的相関を解析する。また、妊娠中の環境化学物質曝露が新生児の出生時体重などに及ぼす次世代影響について解析を行うため、mtDNAコピー数と母親の妊娠前あるいは妊娠期間中の生活習慣(喫煙歴、飲酒歴、運動習慣など)、新生児の体格(出生時体重など)との相関も解析する。そして、これらの成果をまとめた学会報告、論文発表を行う。
|
Causes of Carryover |
本研究で実施した測定条件の最適化が、当初予定よりも順調に進み、試薬類の消費が抑えられたため、次年度使用額が生じた。2023年度は、測定結果の解析にかかる費用、成果発表にかかる論文作成費用等の使用を計画している。
|