2023 Fiscal Year Annual Research Report
Siナノワイヤの細線化とアスペクト比調整によるウイルス感染超早期診断の実現
Project/Area Number |
21K18071
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
張 慧 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (80794586)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シリコンナノワイヤバイオセンサ / ナノワイヤ構造の最適化 / 高感度化 / 電子線描画 / 抗原抗体検出 / 表面処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、感染初期段階で微量なウイルスを高感度かつ迅速に検出するために、Siナノワイヤ(NW)の構造を最適化することで高感度化の可能性を探求し、SiNWの表面修飾法の確立及びマイクロ流体チップの構築によって超高感度バイオセンサシステムの創製を目指す。令和5年度では、東京大学の共同利用設備を利用し研究を推進して、以下の成果を得た。 1)SiNW構造と内部不純物濃度の調整による検出感度への影響の調査:COMSOL有限要素解析法を用いて3次元SiNWバイオセンサモデルを構築し、SiNW幅、高さ、不純物濃度のパラメータを変更して、SiNW表面の電荷密度変化における電気特性の変化を計算した。100種類の組み合わせ結果から高感度検出できるセンサ構造が予測できた。その結果を論文に掲載した。さらに、実際に異なる不純物濃度のSiNWを作製し、pH応答特性および生体分子の検出実験を行った結果、不純物濃度を10^17 cm^-3に低減することで検出感度の増加を確認した。ただし、不純物濃度が極めて低い場合、センサの電気挙動が不安定になることも確認した。 2)マイクロ流体チップの作製とウイルス検出評価:3Dプリンターを使用して異なる幅の型を作製した後、マイクロサイズのPDMS流路を作製した。次に、SiNWセンサのチャネルにPDMS流路を貼り合わせ、マイクロ流体SiNWバイオセンサを試作した。また、インフルエンザウイルスの検出評価において、抗原HAと抗体IgGの結合反応を利用して、抗原HAの検出実験を行った。最初にホスホン酸処理によりSiNW表面にアミノ基を生成した後、高濃度の抗HA抗体IgGをセンサ表面に修飾し、結合しないアミノ基をウシ血清アルブミン(BSA)でブロックした。その後、抗原HAを1 aMから100 nMの順番でセンサ表面へ導入し、HA濃度の増加に伴う電流の連続的な減少が確認できた。
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