2022 Fiscal Year Research-status Report
がん薬物療法を受ける患者の包括的がん悪液質アセスメントツールの開発と実装
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21K18292
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
林 直子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (30327978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 奈津子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (10328180)
鈴木 久美 大阪医科薬科大学, 看護学部, 教授 (60226503)
内藤 立暁 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (00467234)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2027-03-31
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Keywords | がん悪液質 / がん看護 / アセスメントツール / 実装研究 / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、がん薬物療法を受ける患者のがん悪液質の状態を評価する包括的がん悪液質アセスメントツールを開発すること、さらに看護師がそれを臨床活用できるよう看護教育プログラムを開発し、実装研究の枠組みを用いてアセスメントツールの臨床適用の可能性を、実装アウトカムと臨床アウトカムの双方から評価することを目的としている。 令和3年度は治療期のがん患者の悪液質有病率と治療、アセスメントに関する文献調査及びがん悪液質有病率と悪液質関連要因に関する観察研究を実施し、令和4年度はデータ解析を行った。観察研究では、がん専門病院一施設に通院中のがん薬物療法を受ける患者31名に対して、薬物療法初回導入時、6週間後、12週間後の3時点におけるがん悪液質の有病率、治療レジメン、栄養・活動・代謝評価、摂取関連症状、摂取エネルギー量、筋肉量、心理社会的状況を調査しがん悪液質の関連要因を分析した。また了解の得られた対象に半構造化インタビューを行った。その結果、治療開始時にがん悪液質を呈している患者(CAC群)は68%、非悪液質の患者(非CAC群)は32%であり、治療開始時と6週間後のQOLスコアではCAC群が非CAC群に比べ有意に低いことを示す項目も見られたが、12週間後は両群に有意差は認められなかった。また身体症状は、CAC群は6週後の倦怠感が非CAC群に比べ有意に悪化していたが、その他は両群で有意差は見られなかった。CAC群に対するインタビューの結果、体重減少の違和感や食べることの努力、また家族から身体症状が理解されないなど心理社会的影響が大きいことも明らかとなった。 これらの結果と先行研究、ガイドライン等をもとに、令和4年度に6ドメインからなる包括的がん悪液質アセスメントツール並びに看護師向けがん悪液質学習教材(web教材)を作成、エキスパートパネルによる内容妥当性評価を得て、試用版を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り当初予定していた内容に則り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在予定通り進行中であり、開発したアセスメントツールと臨床での活用方法を含む、がん悪液質のアセスメント能力向上を目的とした看護教育プログラム(Web教材)を開発し、その効果を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度予定していたがん悪液質ならびに関連要因の実態調査およびインタビュー調査での費用が少なく済んだこと、また対面による会議も中止されていたことから支出額が少なかった。 次年度は、前年度に開発したがん薬物療法を受ける患者の包括的がん悪液質アセスメントツールをならびに臨床での活用方法を含む、がん悪液質アセスメント能力向上を目的とした教育プログラムを実施する。教育プログラムはWebを活用して実施するため、教材の作成と、テスト一式を包含するwebサイトの設計を専門業者に委託予定である。また10月に本研究の成果をイギリスの国際学会で発表するため3名の研究者が学会に参加する予定である。
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Research Products
(16 results)