2021 Fiscal Year Research-status Report
新型コロナウイルス流行の寿命予測と貯蓄行動に対する影響
Project/Area Number |
21K18434
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
衣笠 智子 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (70324902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増本 康平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20402985)
安田 公治 青森公立大学, 経営経済学部, 講師 (20846711)
羽森 茂之 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (60189628)
勇上 和史 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90457036)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 新型コロナウイルス / 貯蓄 / 死亡率 / 寿命 / アンケート / 日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、新型コロナウイルスの流行に伴って、寿命や死亡率に関する意識がどう変化したのか、また、その変化が貯蓄行動にどう影響したかを明らかにするという目的を達成すべく、下記の件を検討した。まず、寿命の予測が変化した場合の人々の貯蓄行動への影響を理論的に検討した。個々人が予想する生存率を軸に、どのような貯蓄行動をするのか、寿命の不確実性を考慮した世代重複モデルを基礎に、心理学の要因を取り入れて検討する。基本的に、経済学のライフサイクル仮説(老後に備えるために、現役時代に貯蓄するという仮説)に基づいて考えたが、貯蓄の決定要因として、寿命予測、時間選好、子供の数、現在の所得と将来の期待所得、また、心理学的には、人は残された時間に限りがあると認識すると感情的満足を重視するようになるという理論(社会情動的選択性理論)を考慮した。その理論を軸に、オンラインのアンケートを準備した。アンケートは、日本の、自分または配偶者が働いている20-70代の男女に行う予定である。その中で、主観的な死亡率に関する情報を数種類尋ねることにしている。本研究は、主観的死亡率をアンケートで尋ねているところに特徴があり、他のアンケート調査では得られない情報である。また、副次的な研究として、予備調査に基づく計量分析を行い、国際会議、国内の学会で報告したが、学術誌に投稿の準備を進めている。さらに、新型コロナウイルス流行後の地域経済について、論文を投稿中である。また、新型コロナウイルスに関して、計量研究を行い、論文を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査はまだ実行されていないが、昨年度、科研費の結果が出るのが7月頃であり、そのことを考えると、標準的な進捗であると判断できる。関連論文を刊行するなど、一定の成果は上がっていると思われる。本年度は、アンケートを完了し、計量分析も行い、当初のとおりの成果を得ることができると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に、オンラインでアンケート調査を行い、その中で、新型コロナウイルス流行に伴う主観的死亡率の変化が貯蓄率にどのような影響を及ぼすかについて、計量分析を行う予定である。アンケートの中で、昨今のオミクロン株、ワクチンの影響も考慮する。また、研究成果は今年度中に論文にまとめ、論文は、国際会議や国内の学会で発表し、学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
科研費採択が決定したのが、7月であり、アンケートの準備状況から、2022年度にアンケートを行うことにした。
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