2022 Fiscal Year Research-status Report
新型コロナウイルス流行の寿命予測と貯蓄行動に対する影響
Project/Area Number |
21K18434
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
衣笠 智子 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (70324902)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増本 康平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20402985)
安田 公治 青森公立大学, 経営経済学部, 講師 (20846711)
羽森 茂之 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (60189628)
勇上 和史 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90457036)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Keywords | 新型コロナウイルス / 貯蓄 / 死亡率 / 寿命 / アンケート / 日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス流行により、寿命の予想が変化した場合の人々の貯蓄行動への影響について、日本でのオンラインアンケート調査による予備調査に基づく論文を書き上げた。その内容は、下記のとおりである。主観的死亡率の変化について、3 つの指標を考慮し、主観的死亡率の変化に関する変数は、各項目に当てはまるかどうかのマトリクス質問の回答に基づく。1つの指標として、「新型コロナウイルス流行により、自分が数年以内に死亡する確率は高まったと感じる」。主観的死亡率の変化に関する指標の値は、4=非常に当てはまる 3=やや当てはまる 2=あまり当てはまらない 1=全く当てはまらないの 4 段階の値である。さらに、災害や大事故は主観的死亡率を高め、結果として貯蓄を減少させるという仮説を立てた。アンケートの集計結果より、33%の人が新型コロナウイルスの流行により、数年後に死亡する可能性が高まったと感じていることがわかった。主観的死亡率の内生性を考慮した操作変数法に基づいて、貯蓄率の決定要因を分析したところ、コロナ による主観的死亡率予測の増加が貯蓄を減少させ、我々の仮説を支持されることを示した。また、大規模な事故の経験は貯蓄に悪影響を及ぼしますが、災害は有意な影響を与えないこともわかった。 コロナは個人の主観的死亡率を一定程度増加させ、貯蓄意欲を低下させたと結論付けた。それを国際会議と国内の学会で報告し、学術誌に投稿した。また、新型コロナウイルス流行から2年経ち、変異株の出現やワクチンの普及を考慮して、オンラインアンケートを作成し、回答を回収した。このデータを用いて計量分析を行っている。さらに、関連したテーマの論文を執筆し、学術誌等に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたアンケート調査を行うことができた。まだ、それに基づく論文は執筆できてないが、計量分析を進めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度に行ったオンラインアンケート追跡調査のデータを用いて計量分析を行い、新型コロナウイルス流行後、寿命や死亡率の感覚がどう変更したか、観測する。その際に、ワクチンの効果や、変異株出現によって、寿命や死亡率の感覚が変化したかを考慮する。また、これらが、貯蓄行動にどう影響を及ぼしたか計量的に検証する。特に、寿命や死亡率の感覚が主観に影響される変数であることを考慮し、その要因を操作変数でコントロールしたうえで、分析を行う。特に、これまでは、既往症や居住地域は、考慮してきたが、心理学の分野で注目されているパーソナリティーに関する要素も考慮し、より精度の高い分析を目指す。分析結果は、論文にまとめ、国内外の学会で報告する。また、学会でのコメントを考慮して、学術誌に投稿する。
|
Causes of Carryover |
アンケート調査会社に大半を使用する予定でいたが、経費を節約することができた。国内外の学会で報告をする予定であったが、オンライン学会が多く、また、感染症流行の不安も残っていたので、海外に行くのを控えた。今年度は、昨年度と比較して、対面学会が主流になり、海外への渡航しやすさも向上しているので、海外の学会で研究発表を行う。それから、論文が十分に推敲しきれておらず、英文校正の使用額が少なかった。今年度は、英語で論文を書き上げ、投稿前に英文校正を業者に依頼する。
|