2021 Fiscal Year Research-status Report
Investigating a penetration process of new production factors: Implications from the case of industrial robots
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21K18437
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
太田 塁 横浜市立大学, 国際商学部, 教授 (00338229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤生 源子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (80431394)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 産業用ロボット / 労働力不足 / 自動車 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は日本の産業用ロボット産業の初期の発展に注目し、ロボットの導入決定要因や、ロボットの普及が日本経済に与えた影響を分析することである。労働力と代替的もしくは補完的であったであろう産業用ロボットという当時の新しい生産要素の導入背景やその影響を解析することで、昨今盛んに議論されている人工知能(AI)等の現代の新しい生産要素の普及過程や日本経済に与える影響に示唆を与えることを目的としている。 今年度は、既存研究の整理と実証分析のためのデータ収集を行った。産業用ロボットの導入は当時の労働力不足が大きな要因とする文献が多かったが、その因果関係を検証した論文は皆無であった。また、日本における産業用ロボットの開発・実用化は1968年頃に始まったとされ、産業用ロボットの普及は、その技術的進歩とともに進んだことも分かった。普及と技術進歩の同時進行は、導入決定に関する因果関係の推定を難しくさせる。このような知見を踏まえ、実証分析に必要なデータ(労働力不足および技術進歩)の検索、収集を行い、一部はデータベース化を始めた。 日本ロボット工業会のデータによると、1970年代は自動車が金額として最も大きな出荷先産業の一つとなっている。自動車生産のオートメーション化は様々な資料より確認されており、当時の生産量、輸出量拡大に産業用ロボットは大きな貢献を果たしている可能性がある。これは新しい生産要素の利用や普及が、日本経済に与える影響を分析する上で大きな示唆を与えてくれると考えている。今年度はそのような可能性を求め、自動車産業における産業ロボットの利用方法や1970年代からの自動車生産量、製品価格に関する資料やデータの収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は関連資料やデータ収集に注力し、一部はデータベース化を始めた。本研究は、日本の産業用ロボット産業の初期の発展に注目し、ロボットの導入決定要因や、ロボットの普及が日本の経済構造に与えた影響(もしくはその逆)を分析することが目的であり、そのために、データベースの作成、実証分析、動学モデルの構築を目標としている。今年度はデータベース化の作成に着手し、また、実証分析に向けた準備を始めることができた。よって、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、22年度も引き続きデータベースの整備を行う。また、整備したデータを用いて実証分析を始める。22年度は研究期間の中間年に当たるため、計画した全ての目標達成向けて、準備に取り掛かる。特に実証分析および動学モデルの構築を行うため、共同研究者と定期的に研究会を設け、議論を交わす。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響で、国外の共同研究者を日本に招聘することができなかった。次年度は入国規制緩和を見込み、招聘を計画している。また、データベース化に係る人件費にも使用する予定である。
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Research Products
(2 results)