2021 Fiscal Year Research-status Report
Revisiting Money: An Interdisciplinary Approach
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21K18444
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鎮目 雅人 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80432558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 智香子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (10274680)
深田 淳太郎 三重大学, 人文学部, 准教授 (70643104)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 貨幣の起源 / 貨幣の比較史 / 貨幣の社会的機能 / 近代貨幣の相対化 / 異種貨幣の会合 / 貨幣の存続と消滅 / 価値体系と貨幣 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度中3回の準備会合に引続き、今年度は研究集会をオンラインにより6回(2021年5月、6月、8月、9月、11月、12月)、対面により1回(2022年3月)開催し、各人の専門分野の報告をもとに、学際的観点からの意見交換を行った。対面開催の際には、あわせて歴史的な地域貨幣の流通実態に関する実地調査(三菱UFJ貨幣・浮世絵ミュージアムおよび伊勢地域)をあわせて実施した。各回の報告者とテーマは以下のとおりである。 2021年5月:柴本昌彦「貨幣、金融政策、マクロ経済」。2021年6月:鎮目雅人「歴史からみた現代貨幣理論の適用可能性:日本の事例を中心に」。2021年9月:中山智香子「非法定通貨の近年の諸相:リブラ・ステーブルコイン・さるぼぼコイン」。2021年11月:鎮目雅人「伊勢神宮地域の貨幣と商業:千枝大志氏の研究を中心に」。2021年12月:小林和夫「植民地化以前の西アフリカにおける布貨幣」。2022年3月:深田淳太郎「パプアニューギニア、トーライ人の貝殻貨幣」、小林和夫「植民地化以前の西アフリカにおける布貨幣」、小林延人「幕末維新期の日本における紙幣」。 研究会における報告と討議を通じて、今後の研究のひとつの方向性として、現代の貨幣制度が普及、浸透していく過程で何が生じていたかを、固有の起源と伝統を有する非欧米社会の視点から探るというアプローチが浮かび上がってきた。その際、それぞれの社会が元来持っていた貨幣制度はどのようなものであったのか、社会が欧米発祥の諸制度と出会ったときに貨幣の使用に関して何が起きたのか、欧米勢力の進出に対して社会がどのように反応したのか、その中で在来の貨幣制度の何が変容し、何が温存されたのか、また二つの異質な貨幣制度がどのように関係したのか、といった論点が提示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の世界的な感染拡大により予定していた海外での実地調査は延期せざるを得なかったが、オンラインにより精力的に研究集会を実施し、活発な意見交換を通じて学際的な観点から貨幣に対する理解を深めた。2022年3月の対面による研究集会では、実地調査を交えて歴史的な地域貨幣の流通実態を題材として、貨幣の存続基盤、貨幣の機能、通時的な貨幣制度の変化について、多くの示唆を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の学会における研究発表、研究集会への外部からのゲストスピーカーの招聘等を通じて幅広い観点からの検討を深めるとともに、COVID-19の感染状況を睨みつつ、国内外の実地調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の世界的な感染拡大により、当初予定していた海外での実地調査を翌年度以降に延期することとしたため。
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Research Products
(24 results)