2022 Fiscal Year Research-status Report
Implementing Partnership-Based Service Learning in Elementary, Secondary and Higher Education
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21K18479
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
唐木 清志 筑波大学, 人間系, 教授 (40273156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋吉 恵 立命館大学, 共通教育推進機構, 教授 (00580680)
秋元 みどり 青山学院大学, シビックエンゲージメントセンター, 助手 (20729959)
倉本 哲男 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (30404114)
石筒 覚 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 准教授 (50314977)
宮崎 猛 創価大学, 教職研究科, 教授 (50440227)
市川 享子 東海大学, 健康学部, 講師 (80803395)
山口 洋典 立命館大学, 共通教育推進機構, 教授 (90449520)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | サービスラーニング / パートナーシップ / 初等中等高等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年目にあたる今年度は、以下の3点に関して研究を進めた。 第1に、プログラム開発・評価モデルを、日本版SOFARモデルに基づいて洗練化させることを目的に、研究代表者と研究分担者が協力して、初等・中等・高等教育の分析対象校においてインタビュー調査を行った。その結果、日本版SOFARモデルにさらなる改良が必要になることが明らかとなった。特に、学校と地域とのパートナーシップのあり方、そして、地域団体間のパートナーシップのあり方に関しては、米国のSOFARモデルでは対応しきれない部分があり、多元的にSOFARモデルを示す必要がある。さらに、初等・中等教育と高等教育では、教育委員会との関連性やカリキュラムの柔軟性に関して大きな違いがあり、この違いを保証できるモデルの構築が必要である。改良の方向性が明確になったので、改良モデルの提示を次年度の課題としたい。 第二に、公開シンポジウムを開催し(2023年2月)、研究成果を社会に向けて発信するとともに、関係者より意見聴取を行った。日本版SOFARモデルの課題については、先に述べた通りだが、この観点は今回の意見聴取においてさらに明確となった。パートナーシップの構築の仕方にも、サービスラーニング実践の個々のレベルでは多様であり、それらを包括したモデルを構築するに際して、乗り越えるべき課題が明確となった。モデルはモデルとして構築した上で、実践に即したモデルの改良を目指すのが合理的であるという結論に至っている。 第三に、米国調査を行い(2023年3月)、サービスラーニングの専門家より意見聴取を行うとともに、米国の先進的なサービスラーニング実践を観察、実践者に対するインタビュー調査も行った。その結果、パートナーシップの重要性は誰もが認識しながらも、その構築にあたっては、米国でも多くの課題があり、その課題は日米で共通することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの進捗状況は、「やや遅れている」である。そう考える最大の理由は、SOFARモデルの具体的な運用場面を、これまで米国の現地において確認できなかったからである。また、日本の文脈に即して改良が加えられた新たなモデルを、日本で取り組まれているプログラムに適用させて分析することも十分に実施できなかったからである。いずれも、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する。 しかし、これらの懸念材料は、今年度の研究の進展において、徐々にではあるが改善されつつある。米国における調査も実施することができた。また、初等・中等・高等の実践現場において、授業を観察したり、インタビュー調査も実施することができた。今後は、これらの研究成果を踏まえて、やや遅れているが、構築された日本版SOFARモデルを実際に運用してみることである。すでに、インタビュー調査を行った学校からは協力の承諾を得ているので、この先の研究の進展を見通すことはできている。初等であれば総合的な学習の時間における実践、中等であればIB校を中心としながら、高大連携を念頭に置いた各種実践、そして、高等では現在のところ5校ほどの大学と実践に向けての準備を進めている。この際に重要になるのは、新しい実践を実施するのではなく、今ある実践を日本版SOFARモデルの枠組みで分析し、パートナーシップという視点より、改良を図って、高度化するということである。こうすることで、サービスラーニングにおいてパートナーシップを重視する実践は、より一般化すると考える。次年度に向けて、現在これらの準備を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が三年間の研究における最終年度となる。今後の研究は、当初の計画通りに進めることができると考える。新型コロナウイルス感染症の影響で、計画に一部修正を加える必要が生じたが、最終年度に向けて見通しは立てられている。 令和5年度(研究3年目)には、プログラム開発・評価モデルを、日本版SOFARモデルに基づいてさらに洗練化させる。すでに、分析対象校の選定はほぼ終了しており、研究代表者と研究分担者が分担をして、今後は新たに開発されたモデルの実施可能性を追求することになる。分析対象校は、そのままプログラム開発・評価モデルの実施校とすることを計画している。すでに対象校において実施できる体制を整えているので、対象校に即してプログラム開発・評価モデルをカスタマイズした上で、部分実施まで漕ぎ着ける予定である。 令和5年度(研究の3年目)には、プログラム開発・評価モデルの実施を本格化させるともに、得られたデータに基づいて、当該モデルの改良を行うことを計画している。また、プログラム開発・評価モデルとは別に、実際に導入するにあたって生じる課題を解決するための具体的な方法(手続き)に関しても解明されているので、プログラム開発・評価モデルと、この具体的な方法を文書化して、社会に向けて広く発信していくことも、当該年度における大きな行動目標となる。 なお、研究代表者と研究分担者は共同して、自主組織「サービス・ラーニング・ネットワーク」を運営し、本研究の推進に努めている。今後も、同組織の主宰する研究会等で、適宜研究成果を発信するとともに、そこで得られた声を研究の深化に活かすこととしたい。具体的には、2023年5月と2024年2月、場合によっては2023年10月にも、同様な研究会等を実施して、研究成果の社会的発信に努める。
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Causes of Carryover |
海外旅費(米国への現地実態調査)と国内旅費(学校訪問によるインタビュー調査)を、新型コロナウイルス感染症の影響で実現できなかったために、旅費の執行を行えなかったことが、次年度使用額が生じた最大の理由である。令和4年度に幾分解消されたが、まだ予定の研究を実施できずにいる研究分担者もいる。今年度が最終年度にあたるが、引き続き研究の進展に努め、次年度使用額として多くの配分額が残っていることを念頭に置いて、早急な執行を目指し、使用計画を再検討することとする。 具体的な使用計画としては、海外及び国内の旅費として使用することを考えている。これを実現することで、研究が充実するとともに、残った配分額の有効利用にもつながる。また、インタビュー調査等で得られたデータを分析するにあたって、残った配分額を使用することも考えている。さらには、研究成果の社会的発信を目指して、会議費等として活用することも計画している。
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Research Products
(10 results)