2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of objective methods for evaluating the effects of childhood neglect
Project/Area Number |
21K18499
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
友田 明美 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (80244135)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | マルトリートメント / ネグレクト / 子ども虐待 / 脳画像解析 / 中間表現型 |
Outline of Annual Research Achievements |
極めて劣悪なネグレクト養育(マルトリートメント)環境で育った児は、脳に生涯消えない脆弱性が刻まれ、多数の精神疾患罹患リスク増・重篤化、これに伴う自殺率増が懸念され、一刻も早い介入や治療が必要である。しかし、介入開始を決定付ける為の客観的バイオマーカーもなく、現状は状況からの判断となり、虐待の死因で最も多いネグレクト死(H30厚生労働省調査)を見過ごしてしまうケースも少なくない。本研究の目的は、被ネグレクト児を対象に客観的・生物学的エビデンスに基づき、早期に介入を開始する為の生物学的マーカーを同定することである。R3年度は児童相談所の介入後間もない被ネグレクト児31名(平均13.2歳)とマルトリートメント経験がない健常児99名(平均12.4歳)を対象とし、脳・構造MRIデータに代表される中間表現型との関連解析を包括的に行った。全脳探索の結果、被ネグレクト群では健常群と比べて左前帯状回と左中帯状回容積が減少していた(FWE corrected at p < .05)。一方、健常群と比べて容積が有意に増加している領域は認められなかった。また、左前帯状回容積はDSRSC(抑うつ)スコア・SDQ(子どもの強さと困難さ)スコアと関連があった(いずれも r = 2.15, p < 0.05)。 【R4年度の研究計画】 研究代表者らが遂行してきた永平寺町・母子コホート研究における過去7年間の詳細な追跡データのある前向コホート発達データを活用し、幼少期のネグレクト経験と因果関係を有する神経発達的特性を網羅的に同定する。 R3年度の研究で得られたメチル化アレイデータを総合し、被ネグレクト児の各脳構造・機能別の脳相関(脳画像エピゲノム解析)を調べる。またネグレクト経験が小児発達期のどの時期(感受性期)に最も影響を及ぼすかを明らかにし、得られた成果を論文投稿する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
複数の実験を終了し、現在国際誌投稿の段階に入っている。本研究の独創性を反映したユニークな視点、手法による結果が得られたため、当初の予定を超える順当な成果をあげたと評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き今年度も、被験者リクルートおよび脳MR画像解析を推進する。また、それらの最終結果について論文投稿を目指す。
|
Causes of Carryover |
COVID-19の影響もあり、MRI被験者のリクルート実施が当初の計画より遅くなったため
|
Research Products
(29 results)