2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study of objective methods for evaluating the effects of childhood neglect
Project/Area Number |
21K18499
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
友田 明美 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (80244135)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | マルトリートメント / ネグレクト / 子ども虐待 / 脳画像解析 / 安静時fMRI解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
極めて劣悪なネグレクト養育(マルトリートメント)環境で育った児は、脳に生涯消えない脆弱性が刻まれ、多数の精神疾患罹患リスク増・重篤化、これに伴う自殺率増が懸念され、一刻も早い介入や治療が必要である。しかし、介入開始を決定付ける為の客観的バイオマーカーもなく、現状は状況からの判断となり、虐待の死因で最も多いネグレクト死を見過ごしてしまうケースも少なくない。本研究では、日本人のネグレクト児の脳の構造と機能の変化を同定するケースコントロール研究を行った。主に、他のタイプのマルトリートメントを経験していないネグレクト児群(n=23)と定型発達児群(n=140)の脳の構造および機能に違いがあるかどうか、その違いがネグレクト児に認められる特定の心理社会的表現型とどのように関連しているのかを検討した。 その結果、ネグレクト群では、前帯状皮質(ACC)が大きく、左角回(L.AG)の灰白質体積が小さいことが判明した。ACCが大きいことは、多動や不注意と関連していた。さらに安静時fMRI解析では、さらに、左角回と左小脳間の機能的結合の増加がネグレクト群で確認され、ピア問題(友人関係のトラブル)と関連していることが示唆された。ネグレクト経験が脳の構造と機能に与える影響を理解する上での重要な手がかりとなり、エビデンスに基づくネグレクト家庭への早期介入および支援の促進に繋がることが期待される。本研究の成果は国際誌Neuroimageに掲載された。
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