2021 Fiscal Year Research-status Report
赤外マルチファイバー技術と先端分光技術の融合で惑星展開を目指す小型赤外分光器開発
Project/Area Number |
21K18640
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笠羽 康正 東北大学, 理学研究科, 教授 (10295529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平原 靖大 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (30252224)
中川 広務 東北大学, 理学研究科, 助教 (30463772)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 赤外ファイバー / 赤外分光 / レーザー分光 / ヘテロダイン分光 / フーリエ分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間で予定する開発内容のうち、まず基盤となる以下を先行実施した。 (A) 赤外線ファイバーの光路結合・分割技術開発: (a1) 光の入射条件に依存する中空光ファイバの適切な特性評価を行う光学系を確立。10 μm CO2レーザーと9.6μm 量子カスケードレーザーを結合効率90 %以上で中空光ファイバーに入射でき、また85 %/mの高効率伝送を確認した。(a2) インコヒーレントな太陽光でも89.6 %/mの伝送効率を初めて確かめた[口頭発表: 塚田+ 2021他]。 (a3) 中空ファイバーバンドル開発に着手: このシーリングとリフォーカスに用いる赤外透過型マイクロレンズアレイとの結合に取り組んだ。非球面平凸レンズアレイ(1mmφ×10)により、シース材料が不要で近接配置可能な2次元バンドルHCWの試作・性能評価を可能とした。 (B) 分光システムとの結合検討:より難度の高いb2と初動のため機器導入を要するb4を中核に行った。 (b2)ヘテロダイン分光: CO2レーザーをLOとし、中空光ファイバとファイバカプラを組み込んでレーザーヘテロダイン分光に成功。 「フルファイバー光学系」のレーザーヘテロダイン分光の信号取得効率を評価し、ミラーを多用し大型・複雑となっていた従来光学系と同等のシステム雑音温度(10μmでショット雑音限界に迫る約3,000 K)を確認した。(b4)フーリエ分光: この装置は東北大・名大には無く新規製造する必要がある。名大科研費との合算も得てまず初動に要するハードウェア(ミニフーリエ制御ユニット)および制御ソフトウェアを導入し、まずその性能評価を行い、さらにファイバーと専用Geレンズを介して結合した中間赤外線ファイバー分光器を開発した。波長分解能R~100(λ=8μm)、空間分解能~0.1 mmでのスペクトルイメージングを7-13μm(メーカー保証上限を越える)で可能であることを確認。光学材料計測等への応用を可能とした [査読論文: Maejima+ 2022; 口頭発表: 根岸 2022]。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍継続下で出張抑制で作業せざるを得なかったものの、先行実施を要する以下の項目において前進を得ることができている。 (A) 赤外線ファイバーの光路結合・分割技術開発: (a1) 光の入射条件に依存する中空光ファイバの適切な特性評価を行う光学系を確立。(a2) インコヒーレントな太陽光で伝送効率を初めて確認。(a3) 中空ファイバーバンドルの開発に着手 (B) 分光システムとの結合検討: (b2)ヘテロダイン分光: 中空光ファイバとファイバカプラを組み込んでレーザーヘテロダイン分光に成功。 (b4)フーリエ分光: 初動に要するハードウェア(ミニフーリエ制御ユニット)および制御ソフトウェアを導入。性能評価およびファイバー結合を実施。 次の2年間で、具体的に動作が可能な装置を構築するとともに、小型化・軽量化,高効率化・低コスト化,安定性・運用性・耐環境性が必須となる宇宙用展開に必要な要素技術を開発していく。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の成果を出発点に、具体的な地上観測・実験室利用可能な装置を構築し、また宇宙用展開に必要な要素技術を、経費の範囲内で濃淡はつかざるを得ないものの開発していく。 (A) 赤外線ファイバーの光路結合・分割技術開発: 入射角・曲げ率によるビームプロファイルといった実用上不可欠な基本技術情報を蓄積していく。 (B) 分光システムとの結合検討: <B1>レーザー分光/<B2>ヘテロダイン分光: 「ファイバー混合器」+「ファイバー」で小型・高効率・高安定化を図りうる実用的分光装置を成立させる。<B3>グレーティング分光>/<B4>フーリエ分光:ファイバーバンドル結合による多点計測機能を付与を目指す。フーリエ分光については、アクチュエータ(ピエゾ駆動)の真空動作確認対応化、波長範囲の拡大(レンズ光学系のミラー光学系への変更)といった「真空・広波長カバー」に必要な基礎技術の導入を進める。<共通>「10cm角xα」という近年の超小型衛星搭載サイズに合わせ、小型化(・軽量化)を要する技術要素の洗い出しを進める。また真空以外の耐環境(熱、振動、放射線等)の対応を要する可動部・電子部など対応を要する技術要素の洗い出しを進める。
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