2021 Fiscal Year Research-status Report
水工学と都市計画学の融合による総合的治水対策の評価システムの構築
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21K18747
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 智大 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (20793798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 温 京都大学, 工学研究科, 准教授 (30293963)
横松 宗太 京都大学, 防災研究所, 准教授 (60335502)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 立地選択モデル / エージェントベースモデル / アメニティ / 交通利便性 / 住宅価格 |
Outline of Annual Research Achievements |
京都盆地を対象に,立地選択のエージェントモデルを開発した.開発したエージェントモデルは,各世帯をエージェントとしてその住宅売買に伴う移住を計算する.2015年時点の国勢調査や土地・建物調査等の政府統計情報を活用し,2015年~2035年の対象地域における立地選択行動を計算した. さらに,エージェントの意思決定において交通利便性の要素を導入し,徒歩もしくはバスでアクセス可能な範囲の1時間あたりに利用可能な鉄道本数を指標としてメッシュ単位の交通利便性に基づいてエージェントの移動行動をモデル化した.また,検証対象である住宅価格に関して国土交通省の地価公示と不動産業者用のデータベースを比較し,妥当と思われる住宅価格分布データを作成した.これとモデル計算値を比較した結果,経済成長を仮定しない定常計算において,対象地域の立地選択に伴う住宅価格の空間的特徴を適切に反映することを示した. 構築したモデルを用いた政策評価に向けて,京都府へのヒアリングを実施し,現状の京都府の都市開発計画や防災計画との関連について調査した.その結果をもとに,京都盆地の各市町村における開発計画に対する京都府の立場と各開発の基本的な方針を整理した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
立地選択モデルの構築に加えて,対象地域での実証に向けた定量的な評価を行うことができ,それに基づいてモデルの改良まで行ってある程度定量的なモデルを構築できた点で順調に進展しているといえる.モデルのパラメータ推定に重要と思われるアンケート調査に着手していない点が課題として残っており,今年度取り組む予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
立地選択モデルのパラメータの妥当性を議論するため,対象地域での住民の立地選好を調べるためのアンケートを設計し,調査を実施する.アンケート調査に基づいて,立地選択モデルの改良を行い,過去の開発事業を対象に結果の妥当性を評価する.さらに,シナリオ分析に向けて京都市での個別の開発事業の詳細と方針をヒアリングし,シナリオ分析を設計する.
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Causes of Carryover |
受理済みの査読付き論文の論文掲載が次年度になったこと,また住民の立地選好に関するアンケート調査を次年度に実施する方が効果的であると判断されたため.さらに,研究開始後に住宅価格再現計算用の不動産データベースを精査し,年払いのデータベースから次年度に掛けての月払いのデータベースに変更したため.
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