2021 Fiscal Year Research-status Report
腸管を基軸とした幼若雛の健全育成を支えるニワトリ粘膜免疫学の創成
Project/Area Number |
21K19176
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野地 智法 東北大学, 農学研究科, 教授 (10708001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
イスラム ジャヒドゥル 東北大学, 農学研究科, 特任助教 (20805569)
佐藤 幹 東北大学, 農学研究科, 教授 (20250730)
喜久里 基 東北大学, 農学研究科, 准教授 (90613042)
陶山 佳久 東北大学, 農学研究科, 教授 (60282315)
松尾 歩 東北大学, 農学研究科, 助教 (90868754)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | ニワトリ / 腸管 / 粘膜免疫 / 組織形成 / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニワトリ(鶏)の免疫学に関する教科書には、骨髄で造血幹細胞から分化したB細胞前駆細胞は、排泄腔近傍に存在するファブリキウス嚢でB細胞へと分化し、その後、脾臓やパイエル板(回腸終末部)、盲腸扁桃(盲腸基部)といった免疫臓器で機能すると記載されている(Avian Immunology 2nd Edition)。一方で、我々は、広大な表面積を有する盲腸にも成熟したB細胞が多数集積する濾胞構造が広範囲に発達していることを見出し、盲腸扁桃やパイエル板とは異なる、腸管に発達する新たな免疫臓器(Cecal patches: CP)の存在を明らかにしてきた。加えて、経時的に実施した形態学的解析を通して、CPは盲腸扁桃と同様に孵化後に形態形成されること、腸管の免疫機能に深く関わるIgA(免疫グロブリンのサブクラスの1つ)を産生する形質細胞へのB細胞からの最終分化が、盲腸扁桃やパイエル板以上に、CPで盛んに行われていることを見出し、既存の教科書には記載されていない、孵化後の鶏の腸管内で発達するCPを中心とした粘膜免疫システムの存在を提唱してきた。
そこで本研究では、孵化1, 2, 3, 5, 7 週間後の肉用鶏(Ross308系)より、盲腸を採材・固定し、CPの形態形成を組織学的に解析した。また、組織切片をIgM, IgA, IgYをマーカーとした免疫組織化学染色に供することで、抗体産生細胞の局在変化も比較解析した。その結果、CP形成が開始される時期は、盲腸扁桃の発達時期よりも少し遅く、孵化2週齢以降であることが明らかになった。このことは、盲腸扁桃とCPの形態形成を促す刺激は異なっている可能性を強く示唆していた。さらには、CPで濾胞構造が発達する時期は3週齢前後であり、同時期に濾胞内でB細胞からIgA産生細胞への最終分化が起きていることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した通りの実験を通して、予定されている研究成果が得られている。また、研究初年度(令和3年度)に得らえた結果をもとに、研究2年目(令和4年度)の課題が既に開始していることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
鶏腸管の免疫臓器が孵化後に形態形成・機能成熟する事実は、その過程に関わる外来(例:微生物)刺激の存在を強く示唆するものであった。そこで、対照区に加えて孵化後の雛の腸内微生物環境を改変した試験区(改善・撹乱)をそれぞれ作出し、腸管免疫臓器の形成に影響を与える微生物種の特定に迫る。
具体的には、初生雛にCEテクト(健全な成鶏由来の盲腸内微生物群含有市販飼料)を3週間供与する“腸内細菌叢改善区”に加えて、各種抗生物質を3週間投与する“攪乱区”を設ける。その後、形態学的/免疫学的手法を駆使した腸管免疫臓器形成に関する解析に加え、各区の鶏の腸管免疫臓器内に発達する微生物叢を、メタゲノム解析により網羅的に分析する。
本課題を通して、孵化後の鶏腸管の免疫臓器形成に関わる候補微生物が特定され、腸管の免疫臓器の連鎖的機能向上型の雛用飼料開発に向けた学術基盤が形成される。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] The gut microbiota induces Peyer’s-patch-dependent secretion of maternal IgA into milk2021
Author(s)
Usami Katsuki,Niimi Kanae,Matsuo Ayumi,Suyama Yosihisa,Sakai Yosifumi,Sato sintaro,Fujihasi Kohtaro,Kiyono Hirosi,Uchino Saeka,Furukawa Mutsumi,Islam Jahidul,Ito Kaori,Moriya Taiki,Kusumoto Yutaka,Tomura Michio,Hovey Russell C.,Sugawara Junichi,Yoneyama Hirosi,Kitazawa Haruki,Watanabe Kouichi,Aso Hisasi,Nochi Tomonori
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 36
Pages: 109655~109655
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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