2021 Fiscal Year Research-status Report
Role of Polycomb in tethering ncRNAs to chromatin.
Project/Area Number |
21K19241
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
増井 修 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (30579305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雅紀 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (10625437)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | Xist / PRC1 / Degron |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に沿って、本年度は以下の2項目を遂行した。 (1) RADICL-seq の実施 4-hydroxytamoxifen (4OHT) の培地への添加により Ring1A/B 欠失を誘導できるマウスメス TS 細胞を用いて RADICL-seq を行なった。RING1A/B タンパク質は PRC1 の触媒サブユニットであり、その欠失により PRC1 の機能欠損を誘導できる。これを用いてPRC1 の存在下、非存在下の二つの条件で RADICL-seq を行った。解析の結果、ポジティブコントロールである Xist RNA の不活性X染色体クロマチンへの結合は約50%減少しており、予備実験で行なわれた RNA FISH の結果とほぼ一致した。さらに genome-wide に解析を行い、Xist RNA と同様に PRC1 非存在下でクロマチンとの結合が減少する non-coding RNA (ncRNA) の検索を行なったが、有意な変化を示すものは同定できなかった。 (2) 実験材料作製の継続 (1) では 4OHT の添加後五日目の条件で TS 細胞を用いた RADICL-seq を行なったが、より迅速な PRC1 欠損誘導の必要性を考慮し、degron システムを用いた PRC1 欠損細胞の作製を開始した。内在性の Ring1A および Ring1B 遺伝子座に dTag を付加したマウスの作製がほぼ終わっているので、そこから TS 細胞を樹立して RADICL-seq を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Ring1A/B (PRC1) 欠損TS 細胞を用いて一回目の RADICL-seq を実施したが、予想に反して Xist RNA 以外に PRC1 依存的にクロマチンに結合する ncRNA の同定には至らなかった。この解析では Xist RNA の不活性X染色体クロマチンへの結合は五割ほど低下することが見られたことから、RADICL-seq 自体はうまく機能していると考えられた。実験では 4OHT を培地に五日間添加した TS 細胞を用いたが、より早い時期、また他の細胞種を用いた RADICL-seq を行うことで改善する余地があると考えられる。4OHT による ERT2Cre の活性化を介した Ring1A/B (PRC1) のノックアウト、さらに Ring1A/B (PRC1) により触媒されるヒストン H2A K119 残基のユビキチン化 (H2AK119ub1) の枯渇までには四日程度を要することから、より短い期間で RING1A/B タンパク質の欠損を誘導できる degron 実験系を用いることで、Ring1A/B (PRC1) 欠損急性期(数時間程度)での ncRNA とクロマチンの結合の変化を解析できる。メスの TS 細胞は Xist RNA を発現して不活性X染色体を形成していることから、RADICL-seq において Xist RNA をポジティブコントロールとして用いることができた。今後は ES 細胞、エピブラスト由来幹細胞 (EpiSCs) 等の他の細胞種を用いて RADICL-seq を行うことを検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は以下の項目を遂行する。 (1) Degron システムによる PRC1 欠損細胞の作製:dTag システムにより Ring1A/B を欠損できるマウスをすでに導入しており、今後それらから TS 細胞、ES 細胞、EpiSCs などの樹立を行い、(2) の RADICL-seq を行う。現在遺伝子改変マウスの交配を進めており、それらを用いて2022年夏以降に細胞の樹立を開始できる予定である。 (2) RADICL-seq の遂行:(1) で樹立した各種の細胞を用いて、 degron システムでの PRC1 ならびに H2AK119ub1 の欠失に要する最適な時間を検討する。その条件を用いて各細胞で RADICL-seq を行い、PRC1 欠損急性期での ncRNA とクロマチンの間での相互作用の変化を解析する。 (3) PRC1 欠損時の Xist RNA の挙動解析:PRC1 欠損時に Xist RNA が不活性X染色体から解離するが、その動態は不明である。我々が開発した Xist RNA を GFP シグナルとして生きた細胞で可視化するシステムと、(1) の PRC1 degron システムを組み合わせて、PRC1 欠損急性期での Xist RNA の動態を生細胞イメージングを用いて解析する。現在遺伝子改変マウスの交配を進めており、それらを用いて2022年夏以降に細胞の樹立を開始できる予定である。
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Causes of Carryover |
実験計画が当初の予定通りに進まなかったことから、初年度に実施する予定であったRNA FISH ならびにマウス飼育維持費用を次年度に繰り越すこととした。具体的にはマウス飼育維持費用(500 千円)、RAN FISH 試薬費用(500 千円)を含めた予算額の次年度への繰り越しを行なった。
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Research Products
(1 results)