2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of action of Q-neurons
Project/Area Number |
21K19287
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桜井 武 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60251055)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | 冬眠 / 視床下部 / 体温 |
Outline of Annual Research Achievements |
Qニューロンは主に視床下部背内側核(Dorsomedial Hypothalamus, DMH)に作用してQIHを誘導すると考えられた。そのターゲットニューロンをラベルするために、TRAP2マウスのAVPeにQrfp遺伝子プロモーターを用いたAAVベクターによりOPN4dCを発現させ、また、DMHにhM3DqをCre依存的AAVベクターにのせて投与したのち、AVPeに留置した光ファイバーをもちいて光遺伝学的にQIHを導入したのち、Tamoxifen投与により、QIH起動時に興奮したニューロンをhM3Dqにてラベルした。その後、CNO投与によりQIHのような低体温・低代謝状態が誘導できるか検討したが、体温はむしろ上がる傾向にあり、QIHによる低体温に応答したCold-sensitive neuronsをトラップしてしまった可能性が高い。今後、QIH下における温熱的中性域と考えられる外気温での実験を進める予定である。また、DMH以外のターゲットニューロンが重要である可能性も視野に入れて、とくに視索前野ニューロンに着目した検討も行う。QrfpプロモーターによるOPN4発現では十分なQIHが誘導できないことも問題であり、プロモーターの最適化とともにQrfp遺伝子にFlpOを組み込んだQrfp-Flpマウスの開発を行った。Qrfp-Flpマウスは現在繁殖中であり、これが使えるようになれば、AVPeにFlp依存的なAAVによりhM3DqやOPN4dを投与することにより、効率よくQニューロンにそれらの遺伝子を発現させることが可能になる。これにより、CreをもちいたTRAP2法が使いやすくなるため、成果が期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DREADDによるQIHは、その回復に数日以上を要し、その間、ゆっくりと回復するため、QIHが生理機能に及ぼす役割を解明するために若干使いにくい点があった。そこで、QIH状態を高い時間分解能でオン・オフできる、光操作によるQIH誘導法を確立した。まずは、QIH導入およびQIHからの離脱時の自律神経応答を明らかにした。OPN4を改変したオプシン(OPN4dC)をもちいて、極めて微弱な光で24時間にわたりQIHを操作できるようになった。この論文がリバイス中であるほか、上記のように今後の推進に必要なQrfp-flpOマウスを確立するなど、着実な進捗が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
Qニューロンには、vGlut2陽性のQeニューロン、vGat陽性のQiニューロン、および両方を発現しているQhニューロが存在することがわかっている。そこで、それぞれのサブポピュレーションの機能と解剖学的特徴を明らかにするべく、上記のQrfp-Flpマウスを作成した。現在繁殖を行っており、Flp依存的なAAVをもちいて、hM3Dqを発現させ、QIHの誘導を確認しようとしている。この系がうまく動けば、Qrfp-FlpマウスとvGat-ires-Creあるいは、vGlut2-ires-Creと交配し、Flp/Creの両方に依存的なAAVコンストラクト(Con/Fon)を用いて、hM3Dqを発現させ、Qe+Qhニューロンのみ、あるいは、Qi+QhニューロンのみによるQIH誘導を試みる。さらに、順行性および逆行性トレーシングを行い、QeおよびQiニューロンの入出力系を明らかにしていく予定である。一方、Q-loxP-Flp-loxマウスも確立した。このマウスをvGlut2-ires-CreやvGat-ires-Creと交配することにより、それぞれ、Qiニューロンのみ、QeニューロンのみによるQIHや、入出力系の観察が可能になると思われる。また、Qrfp-Flpマウスをもちいて、AVPeにFlp依存的なAAVによりhM3DqやOPN4dを投与することにより、効率よくQニューロンにそれらの遺伝子を発現させることが可能になる。これにより、CreをもちいたTRAP2法を行い、ターゲットニューロンのラベルを進めていく。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により、消耗品の一部の入手困難のため、予定していた実験を翌年度に持ち越した。当初予定していた翌年度分の助成金とあわせて研究推進をする予定である。
|
Research Products
(9 results)