2022 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-profiling of Jomon people's nutrition, hygiene, and health status by coprolite genome analysis
Project/Area Number |
21K19289
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 博樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40401228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅崎 昌裕 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30292725)
澤藤 りかい 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 日本学術振興会特別研究員(CPD) (50814612)
和久 大介 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教 (60793578)
熊谷 真彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, 主任研究員 (80738716)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 古代ゲノム / 糞石 / 植物性摂食物 / キャプチャーシークエンス法 / キャプチャー・ベイト / 種同定用データベース / 糞便ゲノム / multi-profiling |
Outline of Annual Research Achievements |
生きているヒトの糞便を用いたメタゲノム解析は、医学的目的から極めて活発におこなわれていることは周知の通りである。しかし、栄養(摂食物)、衛生(寄生虫)の観点からのヒト糞便メタゲノム解析は少ない。過去の生物の糞便である糞石のゲノム解析の報告は数例に過ぎず、ヒトの糞石についてはほぼ皆無である。本研究は、これまで太田(代表)らのグループが積み上げてきた古人骨ゲノム解析および現代人糞便ゲノム解析の技術を融合することにより、先史時代人の栄養・衛生・健康状態を多角的に描き出すこと(multi-profiling)を目的とする。本研究では、以下の3つの課題「Task I:キャプチャー・ベイトの作製」「Task II:種同定用データベースの構築」「Task III:糞石ゲノム評価法の確立」に取り組んできた。熊谷真彦(分担)と澤藤りかい(分担)は、植物性摂食物の「種」レベルでの同定を達成するため、オリジナルのカスタム・ベイトを作製した。このカスタム・ベイトは、植物種同定のためのマーカーとして広く用いられるmatK(約1500bp)およびtrnL(約500bp)の2つの遺伝子領域を含む。これらの濃縮効率を測定した結果、6つの植物種で大きなばらつきなく濃縮に成功し、古代DNAを模倣したライブラリ(超微量DNA濃度)でも同様の濃縮率を得た。このように、摂食物同定法の技術的基盤を整備することができた。また熊谷(分担)は、植物種同定のためのデータベースを構築した。得られたデータは、このデータベースを含むパイプラインで解析が可能となった。さらに、現代人の糞便をもちいて、糞石から得られたゲノム情報を如何に解釈できるか、実験をおこなった。その結果、大半の摂食植物を同定できるものの、オレンジやゴマなど一部の摂食植物については、検出が困難であることが明らかとなった。
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