2021 Fiscal Year Research-status Report
アストロサイト数の制御メカニズムの解明と脳回形成におけるその役割
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21K19307
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新明 洋平 金沢大学, 医学系, 准教授 (00418831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河崎 洋志 金沢大学, 医学系, 教授 (50303904)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 脳回 / フェレット |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトなどの高等哺乳動物では大脳皮質は特に発達しており、発達期にその組織構築がダイナミックに変化しシワ(脳回)を形成する。この進化の過程で大脳内の神経細胞とグリア細胞の数が増大したことは自明であるが、神経細胞よりもグリア細胞の一種であるアストロサイトがより顕著に増加したことは注目すべき事実である。実際、アストロサイトは脳内で最も多く存在する細胞で、血液脳関門の形成、細胞外環境の恒常性維持、神経伝達物質の取り込みなど数多くの重要な役割を持つ。さらに、アストロサイトの機能不全が、レット症候群や脆弱X症候群などの神経発達障害に関連する。また興味深いことに、ヒトのアストロサイトを過剰供給したマウスでは認知機能が向上する。このように進化におけるアストロサイト数の増大と脳回の獲得が高次脳機能の発達の基盤であると考えられるが、これらの現象を制御する分子メカニズムは全く不明である。 重要なことに、我々の最新の研究成果からアストロサイトの数を制御する新規メカニズムの存在が示唆されている。そこで本研究では、次世代シークエンサーによる遺伝子発現解析に加え、in vitroおよびin vivoの実験系を駆使することにより、我々の提案する新規モデルの検証を行う。さらに、マウスよりも多くのアストロサイトを有するフェレットを用いることにより、進化におけるアストロサイトの数の増大を制御するメカニズムと脳回形成との関連に迫る。 これまでに、マウスアストロサイトに比べて、フェレットアストロサイトでFGFシグナルがより活性化されていることを見出した。また、アストロサイトが脳溝に比べて脳回に多く存在することを見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アストロサイトの数を制御する分子機構が明らかになりつつあるから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アストロサイトの増殖におけるFGFシグナルの役割を解明する。また、脳回形成におけるアストロサイトの重要性を検証する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルス感染症による影響(輸入量減少による実験動物の納期遅延)である。
使用計画について、当初から予定していた動物実験に加えて、前年度に行うことができなかった動物実験を行う予定である。
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