2022 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪性肝疾患の治療に資するホスホリパーゼCの解明
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21K19327
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 望 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (50451852)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | ホスホリパーゼC / ホスファチジルイノシトール / 非アルコール性脂肪性肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
LPIAT1を欠損したHuh-7細胞は、LPIAT1欠損マウス肝臓と同様にアラキドン酸含有PI の減少とオレイン酸含有PI の増加、中性脂質の蓄積がみられる。この細胞に[14C]グリセロールを添加し、[14C]ラベルされたPI の分解を経時的に調べると、LPIAT1 KO 細胞では野生型に比べてPI の分解が顕著に亢進した。このLPIAT1欠損によるPI分解の亢進はマウス肝臓においてもみられ、分解産物の追跡から、PLC様の酵素が働いていることが示唆されている。本年度は細胞レベルでのPI 分解アッセイを利用して、各種阻害剤を添加し、PI分解を抑制する化合物をスクリーニングした。その結果、PLCの一般的な阻害剤であるU73122やリソソームの酸性化を抑制するクロロキンではLPIAT1 KO 細胞におけるPI分解の亢進を抑制できなかった。一方で、脂質のホスファターゼを抑制する阻害剤の1つがLPIAT1 KO 細胞におけるPI分解の亢進を抑制することを見出した。またLPIAT1 KO 細胞におけるPI分解の亢進において、分解されるPIに分子種特異性があるか調べるために、d8グリセロールラベルによる標識PIのLC-MSでの検出系を検討した。d8グリセロールの添加条件、LC条件、MRM条件を決定し、48時間のd8グリセロールラベルで10-15%のPIをラベルし、それらの逆相カラムを用いたLC-MS/MSにより個々に検出・定量することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究室で起きた火災のため研究機器・試薬の使用が制限され、計画していたRNAi実験の一部とクリックケミストリーを用いたPI分解の可視化の実験ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、候補分子のRNAi実験と阻害剤の実験をおこない、LPIAT1 KO細胞でPIの分解を担う分子の同定を目指す。またd8グリセロールを用いたPI分解アッセイを立ち上げ、分解酵素のPI分子種特異性を検証する。さらにクリックケミストリーを用いたPIの分解を可視化する方法を導入し、網羅的なスクリーニングを行う準備をする。
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Causes of Carryover |
研究室で起きた火災の復旧に時間を要したため、今年度の計画が次年度に後ろ倒しとなり、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(30 results)