2021 Fiscal Year Research-status Report
独自のポアデバイスを用いて超微小細菌の実体と動態を捉える
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21K19394
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中井 亮佑 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (90637802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 一道 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (50633179)
山本 京祐 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (70636472)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 微生物 / 細菌 / デバイス / 検出 / 定量 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、ポアデバイス試験に供する予定の超微小細菌の菌株について、それぞれの培養条件を検討・最適化し、その増殖特性を特徴付けた(中井と山本が担当)。本実験では、生存様式の異なる3タイプの超微小細菌の検出に挑戦する計画である:タイプA:培地・培養条件に依らず細胞が常に小さい細菌、タイプB:培養条件に応じて細胞が矮小化する細菌、タイプC:形態変化を伴う多型性の細菌(微小細胞を含みうる)。特に、まずはタイプAのAurantimicrobium minutum KNC株(細胞体積が常に0.1 μm3未満)をモデルとし、既存の技術、具体的にはコロニー形成単位計数や蛍光顕微鏡観察・電子顕微鏡観察を用いて、培養時の細胞数の経時変化、またその大まかな細胞サイズを調べて、デバイス検出に向けた試料調製に必要なデータを収集した。他の菌株についても同様の試験を進めており、培養時に特徴的な形態変化を示す菌株も見出された。また、有限要素法シミュレーションにより(横田が担当)、KNC株のポア通過時における電位分布とイオン濃度分布、また水溶液の流速と圧力を計算し、電流値を算出した。この種のシミュレーションは、本手法がポア通過時の電流値の変化に基づき標的細胞のサイズを検出するために必要となるものである。さらに、調製したKNC株の細胞懸濁液を用いて、動的光散乱による粒径とゼータ段位を測定するとともに、ポアデバイス試作機による予察的な検出も実施した。その結果、今後の検出・定量に向けた改善点として、界面活性剤を添加しての細胞の表面吸着抑制、ポア径のサイズや電圧条件の検討が見出される等の成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポアデバイス試験に供する超微小細菌株の基礎的知見を取得するとともに、シミュレーションだけではなく、細胞懸濁液を用いた実測まで実施することができた。実測により、複数の課題が見出されたものの、実験が進展していることから、「おおむね順調」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは細胞が常に小さい細菌種をモデルにして、本技術の検出・定量プロトコールの基盤を確立する。その後、他の超微小細菌についても同様のシミュレーションや実測を順次推進する計画である。ただし、新型コロナウイルス感染症に伴う対応で実験期間が限られる場合は、試験項目や検体数を減らす等の対応を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症に伴う対応で実験期間が限られたために物品購入費・分析費用が少なくなったため、また、打ち合わせや学会参加をメール会議やオンライン会議に変更したために旅費を計上することがなくなったため、次年度使用額が生じた。このため、複数の超微小細菌の解析、また対面の打ち合わせと学会発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることにしたい。
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