2021 Fiscal Year Research-status Report
Roles of epigenome readers in environmental adaptation
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21K19513
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
日野 信次朗 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (00448523)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | epigenome reader / 代謝可塑性 / 環境応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境に応じたエピゲノム形成と代謝恒常性や生活習慣病発症を繋ぐ分子機序を解明する目的で、epigenome readerタンパク質の探索及び機能解析を実施している。R3年度は、グルココルチコイド(GC)による筋芽細胞の代謝表現型転換モデルを用いたトランスクリプトーム及びクロマチン構造解析を行い、表現型可塑性に関わる分子の同定を試みた。その結果、いくつかの環境応答性readerの同定に成功した。また、トランスクリプトーム解析結果を元に、一過性の環境記憶が書き込まれる遺伝子と消去される遺伝子を同定・分類することができた。今後は、これらの結果を元に、readerによる環境記憶形成機序を解明すると共に、その代謝恒常性における役割を検証する。さらに、もう一つの代謝表現型可塑性モデルである脂肪細胞ベージュ化に関わる分子機構の解明も試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス由来筋芽細胞C2C12をデキサメタゾン(Dex、合成グルココルチコイド)で処理し、RNA-seq法によるトランスクリプトーム解析を行った。その結果、継続的な発現変化を来す遺伝子群と元に戻る遺伝子群を同定・分類することが出来た。興味深いことに、それぞれの遺伝子群と連動して発現変化を生じるreader遺伝子同定することができ、コードされるreaderの発現変化も確認できた。これらのタンパク質について、gain-又はloss-of-function試験に用いる細胞を作製した。 環境記憶のクロマチンレベルでの形成機序を明らかにする目的でATAC-seq解析法の確立を試みた。筋組織や培養細胞由来の筋管を用いたATAC-seq解析は困難であるため、試料調製法や条件の検討を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調なので、計画通り進める。 環境記憶を担うreader候補のgain-又はloss-of-function試験による機能解析をタンパク質、クロマチン及び遺伝子レベルで実施する。また、ATAC-seqにより網羅的なクロマチン構造解析を実施して、環境記憶を担うゲノム領域とその制御に関わるreaderタンパク質の同定を試みる。 また、筋分化系に加えて、脂肪細胞形質可塑性モデルを用いて、環境記憶機序の普遍性や細胞種特異性を検証する。 さらに、reader編集技術の開発に着手し、環境記憶の人為的な操作をクロマチンレベルで行うために基盤を作る。
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Causes of Carryover |
次年度の研究において、大規模な次世代シークエンス解析を実施する予定のため、今年度残額と次年度経費を合算して使用する。
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