2022 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞の抗炎症性サブセットの同定と臨床応用を目指した誘導法の開発
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21K19552
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 琢 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小俣 康徳 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (40570734)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 整形外科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell; MSC)はリンパ球の増殖、活性を抑え、過剰な炎症を制御する作用を有すること、特段の危険性もないことから、GVHDや脊髄損傷など幅広い疾患に対して用いられている。変形性関節症に対する関節内投与についても広がりを見せている。関節内に投与されたMSCは、軟骨や半月板を再生する「組織修復作用」と関節内の炎症を抑制する「抗炎症作用」の両方で変形性関節症患者の症状改善に寄与するとされる。しかし我々の臨床研究によって、構造上の改善がないのに症状が改善する患者が多数いることが分かった。またラット変形性関節症モデル膝に蛍光ラベルしたヒト脂肪由来MSCを投与し、donor, recipient別にRNA-seqを行ったところ、投与したヒト脂肪由来MSCが強力に抗炎症性の液性因子を放出することによって関節内の慢性炎症を制御していることが明らかとなった。本研究はもともと関節に備わった炎症調節機構を担う滑膜細胞(synovium-resident anti-inflammatory cell)の正体を解明するとともに、MSCの中でも抗炎症作用の強いサブセット(anti-inflammatory MSC subset)の同定を目指したものであり、2021年度にはマウスモデル、ヒト変形性関節症患者の手術検体の滑膜を用いてシングルセル解析を進め、滑膜に存在する線維芽細胞、マクロファージ、その他の免疫細胞のサブセットを詳細に解析した上で、炎症抑制に寄与するサブセットを絞り込んだ。2022年度はヒト滑膜線維芽細胞の中で免疫細胞の過剰な活動を抑制する作用を有するサブセットを同定することに成功し、そのサブセットがT細胞を抑制する機序の解明にも成功した。このサブセットはマウス滑膜には存在しておらず、ヒト特有のものと考えられた。現在論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果自体は概ね順調に得られ、論文投稿中であるが、アクセプトに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
延長した期間でリバイス実験等を行うとともに、同定した線維芽細胞サブセットを人工的に誘導出来ない科を検証する計画である。
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Causes of Carryover |
順調に研究が進んでいるが、必要以上に経費をかけずに済んだ。次年度は経費のかさむ解析等に使用する計画である。
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