2021 Fiscal Year Research-status Report
COVID-19関連制限と外国人居住者の健康福祉:ビッグデータ解析による自然実験
Project/Area Number |
21K19633
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神馬 征峰 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (70196674)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 真衣 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00613499)
河添 悦昌 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (10621477)
オン ケン・イン・チェン 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (30765269)
RoyceCarandang Rogie 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (30869243)
篠原 恵美子 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40582755)
金子 惇 横浜市立大学, データサイエンス研究科, 講師 (80825076)
柴沼 晃 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (90647992)
桐谷 純子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90797177)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Keywords | COVID-19 / 外国人居住者 / ビッグデータ / 自然実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、日本におけるCOVID-19パンデミックによる影響を外国人居住者の視点から見直し、そこから得られた知見を発表してきた。まず、2021年7月に神戸女学院大学において「COVID-19に対する日本の対応における外国人居住者のインクルージョン」と題して、ディアスポラとインクルージョンを学ぶ日本の大学生に対する招待講演を行った。この講演は、COVID-19パンデミック1年目に実施した広範囲な文献収集とデータ集計をもとに行った。 次に、本プロジェクトの機械学習モデルに用いる適切な健康の社会的決定要因やデータ構造を特定した。この内容は、2022年5月にカナダのモントリオールで開催される第24回International Union for Health Promotion and Education国際会議の2022年大会(オンライン開催)での口頭発表に採択されている。 第3に、国際誌・Journal of Migration and Healthに、「Mutual aid as a bridge: a rapid realist review of migrant inclusion in the Japanese response to the COVID-19 pandemic」という原稿を投稿している。原稿は、2022年4月11日現在、査読中である。 最後に、2022年5月、早稲田大学アジア国際移動研究所が主催するレクチャーシリーズの一環として、日本に住む外国人移住者の健康のための人工知能の活用に関する招待講演を行う予定である。本発表では、日本における外国人居住者のCOVID-19感染に関するデータについて説明する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
助成金の初年度は、研究の基礎となる文献レビューに基づく研究を行った。これには、主として、機械学習の方法、政府データの利用可能性と構造、外国人居住者のCOVID-19に関連する傾向の追跡などが含まれる。 助成期間内にビッグデータ研究を完了する予定である。しかしながら、COVID-19の再流行によりフィールドでの一次データ収集は進行に影響を受けている。これは、新しいCOVID-19拡大予防規制により、本研究プロジェクトメンバーの移動や対面での交流が厳しく制限されてきたためである。 COVID-19の大流行により、本研究プロジェクトメンバーは遠隔での共同作業を余儀なくされ、コミュニケーションの遅れが若干生じている。これまでは、ビッグデータおよび一次データの収集と分析のため、厚生労働省と連携し、人口動態統計から得られる死亡率データを研究用にまとめる作業を進めている。現在、そのための申請書の作成は最終段階に入っており、2022年5月中に提出する予定である。東京大学大学院医学系研究科・医学部倫理委員会と厚生労働省からのデータ取得の承認の待機期間中に、COVID-19の影響を調べるため、世界各国における自然実験に関する文献レビュー論文の出版も計画中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度には、政府省庁のさまざまなビッグデータについて、機械学習によるモデリングにおける実現可能性を検討した。さらに、外国人移住者の主観的な幸福感/社会的支援に関するインタビューを実施し、最終的にはこれらの知見を機械学習結果の全国的な文脈と結びつけることを計画した。 当初の計画で予定した一次データの役割に加え、ビッグデータ研究の設計を変更することで、よりコミュニティレベルのデータを得られるようにしている。今後のビッグデータ解析の焦点は、外国人居住者人口全体のすべての生命統計ではなく、コミュニティレベルでの特性と死亡率アウトカムに絞られる。 データは、外国人居住者の人口比率と絶対数が最も多い日本の自治体に限定して取得する予定である。この変更により、外国人居住者が実際に生活し、働き、年齢を重ねる社会的決定要因に関する研究を、より適切に実施できるようになる。 2022年度は、東京大学への研究倫理申請を行い、関係省庁とのデータ調達プロセスを完了させる予定である。この間、機械学習による分析および一次データ収集を進めながら、分析を進めていく。 COVID-19下における、フェイスマスクの普及の意味についてのワーキングペーパーを改訂中である。この論文では、マスク装着の心理社会的側面を探求している。論文では、日本に在住している外国人居住者によるマスク装着行動への意識を研究し、その内容をまとめあげる予定である。
|
Causes of Carryover |
今後は、上記に示したいくつかの分野でさらに研究を進める予定であり、助成金が必要である。第一に、量的・質的な一次データの収集と分析の際、外国人の母国語によるデータを英語や日本語に直すための翻訳作業が必要である。そのために、各言語でのバイリンガルのリサーチアシスタントを雇用する資金が必要である。次に、対面でのコミュニケーションが可能になってきているため、東京大学以外の研究者の旅費を補う必要がある。加えて、国際誌と日本誌の両方で、論文出版費用が発生する。最後に、研究成果発表のため、国内外における学会発表・参加費用も計画している。
|
Research Products
(1 results)