2021 Fiscal Year Research-status Report
Visualization of decision making for on-line education in medical and nursing sciences.
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21K19673
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
杉本 昌弘 東京医科大学, 医学部, 教授 (30458963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永川 裕一 東京医科大学, 医学部, 教授 (20349484)
小山田 路子 日本医療科学大学, 保健医療学部, 講師 (50894309)
佐藤 光栄 東都大学, ヒューマンケア学部, 教授 (70461837)
金子 直美 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 教授 (70533206)
伊藤 勝久 神奈川工科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90364299)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 社会医学 / 看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学授業のオンライン化が進んでいるが、看護や医療系の実習のオンライン指導では、教科書では掲載されていないような細かな状況の判断についての指導や、学生の動きから習得度を測ることが難しく、教育者、学習者双方に問題が生じており、今後の卒業生の習得度に個人差が生じる懸念がある。これらの課題を解決するために、本研究では、VR (バーチャルリアリティ) 技術を用いた学習コンテンツの作成と、視線追跡デバイスを用いた意思決定プロセスの可視化、の2つを行う。特に、視線追跡の定量的・客観的評価方法が出来れば、教育者・学習者の双方が、重点的に教育すべき点や習得すべき点を同定できる。本研究は、実効性のあるオンライン実習教育の新しい方法論を確立し、他分野への展開を見込んだ汎用的な開発を行う。 初年度にあたる今年度は、まず視線のログを記録できるカメラ付き眼鏡を導入し、視線の記録だけでなく、瞳の動きのデータも取得できるようにした。また、本試験の前に試験的に使用して課題を明らかにし、初期点合わせの条件の確認とカメラの条件調整を行った。 視線の軌跡を解析する手法については、凝視する回数を表現する手法と、凝視する時間が長いポイント(AOI; Area of Interest)の時間を示す手法を主とした。また、これらの解析を実施するために、凝視画面をエリアごとに区切るなどの手法を実施した。更に、凝視するポイント間の視線移動を定量的に可視化する状態遷移図を作成し、各AOIの凝視時間、AOI間の視線の遷移等を同時にグラフとして表現できる方法を開発した。 学習コンテンツの作成に関しては、教育プログラムの開発を行っている分担者と協議し、作業の実施後に、該当する実習に必要な知識のアンケートをとることで、実習の知識レベルと視線の関係を解析できる仕組みを考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに申請者は、視線のログを記録できるカメラ付き眼鏡を導入した。また、視線の記録だけでなく、瞳の動きのデータも取得できるようにし、顔を動かさずに眼だけを動かすような細かな動きも記録が残せるようにした。 本試験の前に、本カメラを試験的に使用し、課題を明らかにした。具体的には、医師が内視鏡手術の動画を視る試験と、看護師・学生が看護用の人形への点滴を確認する試験を行い、それぞれ熟練者と初心者の視線の解析を行った。 まず、初期点合わせを行う際、カメラとUSBケーブルで接続されたPC画面と、実際に視線を採取する場所までの距離や位置を調整し、視線ログのずれが発生しにくい条件を確認した。そして、カメラの特性上、顔を正面にしながら視界の下の方で作業する動作はログがとりにくい傾向にあることが判明し、条件調整を行った。 視線の軌跡を解析する手法については、凝視する回数が多いポイントをヒートマップのような形式で表現する手法と、凝視する時間が長いポイント(AOI; Area of Interest)の時間を示す手法を主とした。これらの解析を実施するために、内視鏡手術の動画のように画面全体が動かないものに関しては、画面をエリアごとに区切り、凝視の時間や回数などをカウント出来るようにした。更に、凝視するポイント間の視線移動を定量的に可視化するために、状態遷移図を変更して、各AOIの凝視時間、AOI間の視線の遷移等を同時にグラフとして表現できる方法を開発した。 教育ツールへの展開を考え、教育プログラムの開発を行っている分担者と協議し、作業の実施後に、該当する実習に必要な知識のアンケートをとることで、実習の知識レベルと視線の関係を解析できる仕組みを考案した。実習の前に質問すると実習内容が推測できる可能性があるため、実習後にこれらのデータは取得することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
医学分野においては、内視鏡を用いた大腸の手術など比較的手技が標準化されている手術を対象とし、経験の違いによって状況把握や意思決定時の目線の動きがどのように異なるか、更にこの違いと知識レベルの相関関係があるかなどを定量的に表現する実例を示す。 看護分野においては、特に助産科の学生が出産に立ち会うことができずに卒業していくという課題があるため、まず助産科の実習を対象とする。出来るだけ現場に近い体験が出来るよう、乳幼児の人形を使い、熟練した看護師と経験値の少ない看護師、看護学生らの視線の比較を行い、同様の評価、解析を行う。 医学分野、看護分野いずれも学生ボランティアや研修医の教育を対象とする。
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Causes of Carryover |
視線計測デバイスの故障と、研究代表・研究協力者それぞれの所属機関の倫理審査に時間がかかったことから、予定していたよりも実験回数が少なかった。また、新型コロナウイルスの影響が長引き、打ち合わせ等の交通費がほとんどかからなかったこともあり、研究費に余りが生じた。 計測デバイスの修理や予備部品の購入は済んでおり、倫理審査も通過する見込みなので、実験回数を増やす予定である。それにより、研究費は交通費や謝礼、論文の掲載料などで使用する予定である。
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Research Products
(1 results)