2023 Fiscal Year Research-status Report
Building a database that enables age estimation and fracture diagnosis using blood
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21K19678
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
鎌倉 尚史 神奈川歯科大学, 歯学部, 特任講師 (60527224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 貴美子 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (10534034)
山本 伊佐夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (30277917)
大平 寛 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (60386828)
藤田 紗英子 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (50958410)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | FGF23 / 高齢者の骨折 / 乳幼児の骨折 / 年齢推定 / 血液検査 / スクリーニング検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
血液中のFGF23は活性型と分解産物が共存している。活性型FGF23は腎臓などに作用し、分解産物は骨形成など局所で利用後、全身へ作用しないように分解されたものと考えられる。本研究では、分解産物濃度を研究の対象として測定し、骨形成との関連を調べている。 雌雄1~78週齢の正常マウスの血中FGF23濃度を測定し、2way ANOVA及びt検定で統計解析を行なった。結果、雄では1~4週齢をピークとして6週齢にかけて減少(p=0.002)、雌においては、1~2週齢をピークとして4週齢にかけて減少した(p<0.001)。雄と比較して雌の方が減少する週齢が早い(p<0.01)。脛骨の免疫染色でも発現細胞の量に分解産物濃度と正の相関があり、分解産物量が骨形成と正の相関にあると言える。この結果は海外学術誌に投稿中であり、アクセプトには至っていないがプレプリントが公開されている。(http://ssrn.com/abstract=4625424) この結果を基礎として人での研究を進め186人分の解析が終了している。その結果、FGF23分解産物濃度は、男性では20歳未満で多く10代後半をピークとして20歳から50歳にかけて減少したのち、60歳を超えると増加する傾向が認められた。女性では、20歳未満のデータが少なく評価困難であるが、30歳から60歳にかけて減少し、その後やや増加に転じていた。この傾向はマウスの週齢を人の年齢に換算した場合の傾向と似ていた。また、数値としては約50pg/ml(intact FGF23換算)前後となる被験者が多かった。血中FGF23分解産物濃度の平均値は男性55.66pg/ml、女性46.75pg/mlとなり女性の方が少ない傾向にあった。(p<0.05)この結果は2024年5月に開催される法歯科医学会全国大会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスを用いた実験結果は、2023年7月より海外学術誌に投稿中でプレプリントが公開されているが、アクセプトには至っていない。現在も投稿作業を続けている。 人を対象とした実験に用いる血液の収集は、成人については本学健康診断での参加者でほぼ目標数を達成し、解析を進めたことで平均値や年齢との相関を得るにいたった。しかし、20歳未満については、新型コロナウイルス感染症の流行やランサムウェア攻撃により協力医療機関の復旧待ちや新規開拓に時間を要し、遅れが生じた。現在は総合病院2機関、個人開業医1件の体制で進めているが、今後の不測の事態に備え、追加で協力を得られる医療機関を探している。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では、20歳未満の血液が不足しており、この年齢層の研究参加者を必要としている。そこで、大阪府立急性期医療センターの障がい者歯科に加え、四国おとなとこどもの医療センター小児整形外科および小児科の協力を得て参加者を募っている。また、さらに収集に協力いただける医療機関を見つけるため、学会発表を利用し、子ども虐待対応を行なっている全国の小児医療機関や公的機関にも、研究の趣旨やメリット、将来予想される医療の進化を説明し、研究参加をお願いしている。 現在、追加実験も一通り終了したマウスのデータを海外学術誌の投稿中であり、プレプリントが公開されているが、残念ながらアクセプトには至っていない。アクセプトに向けて学術誌エディターとのやり取りを継続しており、2024年度中のアクセプトを目指している。 人のデータを解析のうち、結果の出ている成人のデータについては、学会発表を通じて結果を公表していく予定で、まずは2024年5月に開催される法歯科医学会学術集会にて発表する。20歳未満のデータが集まり次第、海外学術誌に投稿予定である。平行して、FGF23が骨形成でどのような役割を担っているのかを解明するための細胞培養実験を進める予定である。また、人のデータについては、より早くかつ広く研究成果を利用できるようにするため、UMIN INDICE cloudでの公表も予定している。
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Causes of Carryover |
研究協力機関である大阪急性期・総合医療センター障がい者歯科が令和4年10月に受けたランサムウェア攻撃によりサンプル収集が遅れているほか、対策として新たな見つけた協力医療機関である四国おとなとこどもの医療センターとの提携にも時間がかかったことが影響し、20歳未満の人を対象としたサンプル収集が遅延した。 マウスを用いた実験は終了し、海外学術誌への論文投稿を進めプレプリントが公開されたがアクセプトには至っておらず、そこに想定していた投稿費用を翌年度に繰延べた。 今年度では、血液サンプルの収集を急ぎ、マウスの論文投稿に加えて人でのデータの論文投稿も進める予定である。残りの予算をこれらに集中して適正に使用する予定である。
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