2021 Fiscal Year Research-status Report
太陽光を利用した有機窒素化合物の廃水処理手法の開発
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21K19857
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
晴山 渉 岩手大学, 理工学部, 助教 (00451493)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 光分解 / 有機窒素化合物 / 太陽光 / 促進酸化法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、化学プラント等から発生する廃水処理において、太陽光エネルギーを用いた汚染物質の分解処理法の開発を目標とするものである。有機窒素化合物の廃水処理は、2段階以上の処理工程からなる分解処理が一般的に行われている。この有機窒素化合物の処理を、鉄触媒を用いた太陽光による光反応の一段階処理とし、難生分解性物質の分解、有機分、窒素分の処理を同時に行うことを検討した。 研究は、まず、N-メチル-2-ピロリジノンを分解物質として、窒素ガスの生成量を測定することで、反応条件の検討を行った。Fe(Ⅲ)濃度の影響とpHの影響を評価した結果、Fe(Ⅲ)濃度が100mg/Lの条件、pH2付近の条件で、最も窒素ガスの生成速度が大きいことが分かった。また、この条件における全有機炭素濃度を測定した結果、その減少が確認された。以上の結果から、Fe(Ⅲ)を触媒に使用し、光の照射することで、有機窒素化合物中の炭素分は二酸化炭素、窒素分は窒素ガスとなる有機窒素化合物の一段階処理が可能であることが分かった。 次に、その適用範囲を明らかにするために、種々の有機窒素化合物について、同様の光分解実験を行った。実験は、ピロリジン、アミド、アミン、ニトロ化合物等を分解物質に用いて行い、前述の最適反応条件で行った。その結果、炭素分の二酸化炭素への分解と窒素ガス生成が、同時に起こる物質と起きない物質が存在することが分かった。特に、ピロリジン化合物の窒素を含む5員環構造を有する化合物に対して、光分解反応が有効であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度における研究計画は、反応条件の検討、種々の有機窒素化合物による分解であった。これらの研究内容は、全て計画どおり実施された。 また、これらの研究を実施したことによって、本研究の光分解反応の最適条件と適用可能な有機窒素化合物が明らかとなった。ただし、実際に廃水処理には反応速度が十分とは言えないため反応を促進させる方法を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究計画としては、以下の内容を検討する予定である。 1) 光分解の促進方法の検討、2)反応に関与するラジカル種の解明、3)実廃水を模擬した実用性評価、5)化学反応式と反応メカニズムの検討、6)実用性の評価 また、研究計画の最終年度にあたるため、研究成果を総括する。 1)については、当初の計画には入っていないが、実用化を目指すためには、重要な内容であるため、追加で研究を実施する。具体的には、Fe(Ⅲ)の種々の錯体を用いた方法を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、出張の制限があったことが、大きな要因である。翌年度の研究計画において、研究内容が追加されているため、その実験のための物品購入費に用いる予定である。
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