2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of the musical role of "the international exposition festival" in the Vienna World Exposition
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21K19946
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
倉脇 雅子 お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, グローバルリーダーシップ研究所特別研究員 (10908859)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 万国博覧会 / ウィーン / ウィーン男声合唱協会 / 軍楽隊 / J. シュトラウス |
Outline of Annual Research Achievements |
1873年ウィーン博における大音楽祭の開催経緯を知るために、まず、ウィーン博における音楽面の企画について、1870年の万博開催決定の発令から1873年4月末までの準備期間を対象とし、万博公式企画文書(1873)および公式新聞(WWZ; AIWZ; IAZ)により、①万博開催の経緯、②帝国博覧会委員会の設置と委員、③展示と審査、④E. ハンスリック(『新自由新聞』文芸欄(音楽)執筆者)の活動、⑤万博関連の音楽企画、を調査した。調査から以下の点が明らかになった。①開催決定において、ウィーン博は1867年パリ博とは異なり、音楽の展示(演奏)に関する公示はないこと、②帝国博覧会委員には、J. ヘルベック(帝室・王室宮廷歌劇場監督)、E. ハンスリック、N.ドゥンバ(実業家、政治家)、ウィーン楽友協会会長が音楽分野から任命されたこと、③プログラム第15部門の楽器展示では審査副委員長にドゥンバ、審査委員にハンスリックが任命されたこと、④ハンスリックは、1862年ロンドン博、1867年パリ博に公式派遣されており、ウィーン博では追加展示(古い時代の楽器展示)も担当したこと、⑤万博のプラーター本会場での常時の演奏会は1867年パリ博において実績のあるJ. シュトラウスと軍楽隊が任命されたこと、そして、ウィーン男声合唱協会(以下、WMGV)は開会式と大演奏会の出演を承諾したこと、である。これらの開催経緯から、産業博としての楽器の出展及び歴史的展示から成る楽器部門と、親善外交を主とした演奏部門の準備が、帝都ウィーン全体で行われ、そして8月22日の大音楽祭に出演したシュトラウス、軍楽隊、WMGVは、プラーター本会場での日々の演奏を実行委員会から委任されていたことが明らかとなった。また、以上の研究結果を、2021年11月13日(於、信州大学)日本音楽学会第72回全国大会において口頭発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ウィーン博を三期(準備期間、会期中、閉会後)に分けて行なっている。研究代表者は、コロナ禍により2021年度に予定していたオーストリアでの調査研究を断念せざるを得なかったため、現地資料を用いての研究を十分に行うことはできなかったが、日本国内において研究を進めた結果を予定通り日本音楽学会において口頭発表を行い、その後の論文発表に向けた準備を進めることができた。これに加えて、万博学、19世紀のオーストリア市民社会の研究を中心とした研究者のネットワークの構築に努めることにより、ウィーン博会期中に開催された大音楽祭の調査に有益な情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の口頭発表に基づく論文を学会誌等に発表することを予定し準備を進めている。また、研究代表者は、できるだけ早く現地の図書館、アーカイブ、楽友協会等の調査を行い、一次資料に基づく研究に行いたいと考えている。 調査はウィーン男声合唱協会(以下、WMGV)、J. シュトラウス、軍楽隊の3点から行うが、まず、WMGVの調査から着手する。これは同協会の会員に帝国博覧会委員会の委員が含まれているためであり、ウィーン博において多様かつ相互の連関を築いたと考えられることによる。 調査は、オーストリア国立文書館(家門・宮廷・国立文書館)を予定している。ウィーン博の運営面に関する資料は、商務省の部門にある帝国博覧会委員会及び博覧会事務局の公文書(AT-OeStA/AVA Handel WWA 1873)があり、国賓と接遇に関する資料(AT-OeStA/HHStA SB FA Folliot-Crenneville 166)および王室宮廷楽団の資料(AT-OeStA/HHStA HA HMK)の調査は家門・宮廷部門にて行う。 なお、今年度中に世界情勢により困難な場合は日本国内において関連資料の調査を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究代表者が2021年度はコロナ禍のためウィーンでの現地調査を行うことができなかったためである。しかしながら、今年度はできるだけ早期に現地調査を行い、昨年度および今年度に計画している一次資料の入手に努める。また、国内においては、学会活動や勉強会の開催を含め学際的なネットワークの構築に向けた研究者との交流を積極的に行う。
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Research Products
(1 results)