2021 Fiscal Year Research-status Report
アフリカにおける選挙による政権交代:選挙監視の変容とその効果
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21K20112
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長辻 貴之 早稲田大学, 政治経済学術院, 助手 (20906135)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | アフリカ政治 / 選挙による政権交代 / 統計分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、選挙による政権交代と次回選挙の質の間のメカニズム解明を目的とし、なぜ選挙による政権交代が次回選挙の質を低下させるかを明らかにする。本研究は、比較政治学の中でも主要な位置を占める民主化・民主主義研究の根幹を成す民主主義の捉え方に疑問を投げかけ、政権交代の効果についての先行研究に対して挑戦する。前回選挙において政権交代を経験した場合、次回選挙の質が下がることを統計分析により既に検証していた。しかし、新しいデータが公表されたことに加え、使用していた元データのコーディング上のバイアスの可能性に対応するため、2021年度は再分析と追加分析を実施した。 申請時には1990年から2018年におけるアフリカの選挙を分析対象としていた。本研究はアフリカの選挙のみを対象としているため観察数が少なかったが、最新のデータを使用することで観察数を増やすことができた。申請時に既に実施していた二つの統計分析において、最初の統計分析では320から337の選挙が分析対象であったが、348から366の選挙を分析対象とすることが可能となった。また、二つ目の統計分析では、申請時に58の選挙を分析対象としていたが、65の選挙に観察数を増やすことができた。 次に元データのコーディングにおいてコーダーが、選挙による政権交代というイベントの影響を受ける可能性があった。政権交代があった選挙では、選挙のそれぞれの側面を意識せず高く評価し、次の選挙では低く評価してしまう可能性がある。このコーディング上のバイアスを避けるため、長階差(Long Differencing)を使用し、再分析を行った。長階差を使用した分析を実施し、コーディング上のバイアスに対応した場合でも、これまでの分析結果と同様の結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は国際選挙監視団についてのデータセット作成・分析、アフリカから専門家招聘、パリで現地調査実施を予定していた。しかし、再分析と新しい分析手法の導入により、遅れが生じている。また、コロナ渦が続いており、アフリカからの専門家の招聘、そしてパリでの現地調査は実現できていない。遅れが生じているが、準備は進めているため、2022年度に遅れを取り戻すことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に、2021年度の遅れを取り戻す予定である。最初に、国際選挙監視団についてのデータセット作成と統計分析を実施する。これらの準備は既に進めており、早い段階で遅れを取り戻すことができる。当初2021年度に招聘予定であった専門家とも連絡を取り合っており、新規入国が可能になり次第、早稲田大学に招聘する。また、パリでの現地調査においても、現地の最新の研究環境に詳しい専門家と連絡を取り合っており、2022年度には実施できる見込みである。
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Causes of Carryover |
コロナ渦が続き、アフリカからの専門家の招聘、そしてパリでの現地調査を実現できず、次年度使用額が生じた。2022年度は、入国制限等の緩和が予想され、専門家の招聘とパリでの現地調査を実施できると考える。2022年度の研究計画の実施と合わせ、2022年度は2021年度の遅れを取り戻す予定となっている。
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