2021 Fiscal Year Research-status Report
STEM専門職におけるキャリア展望のジェンダー差の規定要因の解明
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21K20189
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池田 岳大 名古屋大学, 男女共同参画センター, 研究員 (90909996)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | STEM専門職 / 性別職域分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はSTEM専門職におけるキャリア展望の性差を、独自調査を行うことで実証的に解明することを目的としている。本年度の進捗は次の通りである。 まず、STEM研究に関連する様々なプロジェクトや学会に参加した。具体的には名古屋大学男女共同参画センターなどが実施しているアカデミックキャリアにおける性差に関するプロジェクトであり、ここでは海外の大学へのインタビュー調査やアンケート調査を実施し、特に理工系学部における女性研究者のキャリア形成の困難さやそれを解消するための諸政策についてまとめた。また、日本ジェンダー学会に論文を投稿し、STEM教育学会へと加入した。 また、本年度は独自調査を実施するための準備を進めた。具体的には調査票の作成と調査対象者の選定である。本調査ではまずSTEM分野を含んだ専門職に対する職業の評定の設問を設けた。この設問は、「どういった属性の人がSTEM専門職を高く評定するのか。またそこにどういった性差がみられるのか」を検討するための設問となる。また、STEM分野は業績主義的な分野であることが想定される。そこで業績主義的なライフコースを展望するか否かを尋ねるような設問を設けた。それによって、より業績主義的なライフコースを展望するものはSTEM分野を高く評定するのか検討し、そこに性差はみられるのかも同時に検討する。調査対象者だが、労働市場に参入する前の大学生に加えて、労働市場に参入したばかりの若年労働者に設定する。これによって、労働市場の初期、あるいは参入以前の選抜段階において、STEM分野におけるイメージにどういった性差が現れており、それがSTEM分野における男性偏重構造とどう結びつくのか検討することを考えている。実査は2022年7月頃を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はおおむね順調に進展していると評価する。 まず、本年度の目標であった調査票作成をほぼ完遂できた点は評価できる部分である。2022年度においてはワーディングの微修正やパイロット調査などを行い調査項目を微修正するのみであるため、すぎに実査ができる状態にある。 一方で、サンプルサイズを想定よりも回収できない見込みである点は反省点である。具体的には、理系学部に属する女性やSTEM分野で働く女性のサンプルの回収が十分にかなわない可能性があるため、分析や追加調査等で補填することが必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では、STEM分野におけるキャリア展望のジェンダー差を解明するために、WEB調査を中心にデータを集めて分析することが主眼であった。しかし、場合によってはインタビュー調査などを行うことでWEB調査の結果と相互補完的な分析を試みることが重要であると思われる。そもそもSTEM分野に属する女性の人数は限定されていることに加えて、STEM分野におけるキャリア展望に関する量的研究蓄積は乏しいため、インタビュー調査による仮説探索型研究も場合によっては進める必要があると思われる。
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