2022 Fiscal Year Annual Research Report
発達性協調運動症を有する幼児の運動能力に及ぼす運動経験の効果
Project/Area Number |
21K20256
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
三上 美咲 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (30910426)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 発達性協調運動症 / 運動経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は前年度に引き続き、自治体の5歳児および3歳児発達健診にて、保護者へ対する運動経験についてのアンケート調査と、参加した子どもへ対する協調運動能力の直接評価を行った。前年度までの健診参加者と合わせた211名について、神経発達症診断による群分けを行った。DCD診断を受けた子ども50名をDCD群とし、DCD、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、知的能力障害のいずれの診断も受けなかった子ども99名を神経発達症診断なし群とした。 5歳および3~4歳それぞれの時点について、指先の細かい動きを伴う活動(微細運動)、全身を使ったバランスを必要とする活動(バランス運動)、ボールを投げたりキャッチしたりする活動(ボール運動)の経験頻度を、DCD群と神経発達症診断なし群で比較したところ、3~4歳時点での微細運動経験の頻度に有意差が認められ、DCD群で経験頻度が少ないことが示された。その他の運動経験については有意差は認められなかった。またDCD群において、運動経験頻度と協調運動能力の直接評価であるMovement Assessment Battery for Children第2版(MABC-2)得点との有意な関連は認められなかった。 また、DCD児で経験頻度の少なさが指摘された微細運動について、これまでにデータの得られた一部のDCD児の微細運動課題実施中の動画から、手部をランドマークとして複数の運動学的指標を算出した。その結果、スピードを求められる片手動作課題の成績が、動作手における、運動の滑らかさの指標の一つとされる単位時間当たりの加速度の変化率(Jerk)と関連することが示され、DCD児の運動の問題の特徴を示す指標となり得ることが示唆された。 以上の結果については、今後、より幅広い種類の運動について経験の量と質を踏まえた調査、サンプル数を増やした上での再解析が必要である。
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Research Products
(8 results)