2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on the effects of cognitive characteristics on reading and spelling fluency in adults with developmental dyslexia
Project/Area Number |
21K20294
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
明石 法子 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 助教 (10908148)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 発達性読み書き障害 / 主観的書字困難度 / 書字流暢性 / 認知能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
全般的な知的発達の遅れがないにもかかわらず、読み書きに困難が生じる障害を「発達性読み書き障害」と呼ぶ。本研究の目的は、発達性読み書き障害のある成人への科学的根拠に基づく支援方法の提案を目指すことである。令和4年度においては、主に書字の主観的困難度と非流暢性、その背景となる認知能力の関連性を検討するため、発達性読み書き障害のある成人を対象として以下の研究活動を行った。 I) 質問紙調査:書字に対する主観的困難度について質問紙調査を実施した。評定尺度には、Visual Analogue Scaleを用い、幅10cmの線分の右端を「簡単」、左端を「難しい」と定義した。当てはまる位置に斜線を引くよう教示し、線分の右端から斜線までの距離(cm)を主観的書字困難度の評定値とした。 II) 読み書き実験:単語属性を統制したひらがなおよび漢字単語を用い、読み書き流暢性測定実験を行った。具体的には、音読・写字(視写)・書取(聴写)課題を行い、刺激提示から反応終了までの所要時間を流暢性の指標とした。 III) 認知検査:音韻認識検査、視覚認知検査、語彙検査等の認知検査を実施した。各検査得点を認知能力の指標とした。 IV) I) ~ III)において得られたデータを分析し、研究成果の一部を第21回発達性ディスレクシア研究会において発表した。発達性読み書き障害のある成人に関して、I) 質問紙調査における主観的書字困難度は、II) 読み書き実験における書字(写字・書取)流暢性や、III) 認知検査における視覚認知検査の結果と関連があることが明らかとなった。すなわち、書字に対する主観的困難度は書字能力の客観的評価値を反映しており、その背景には視覚認知能力の弱さがあることが推定された。今後は書字能力と読字能力の関連を検討するとともに、さらに健常成人のデータを取得し、健常群と障害群の比較検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度から4年度にかけての新型コロナウイルス感染症流行の影響により、遠隔地への移動および対面実施を要する実験・検査に関して延期もしくは中止の措置をとったため、データ収集を計画通り行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度中に収集した障害群のデータを基に、障害群と年齢や教育年数を合わせた健常群のデータを収集する。データ収集後、健常群と障害群の比較検討を行うとともに、参加者の認知能力と読み書き能力、および読み書きに対する主観的困難度との関連性について多変量解析を行い検討する予定である。得られた結果をもとに、発達性読み書き障害のある成人への支援方法について検討し、成果を論文にまとめ公表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行の影響から、遠隔地への移動を要する研究打ち合わせや実験・検査、海外での学会発表が困難となり、旅費や謝金を計画通り使用することができなかった。令和5年度は遠隔地におけるデータ収集や学会発表などの研究活動を行い、必要な旅費を使用する予定である。
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