2022 Fiscal Year Annual Research Report
アミン吸着液の電解による二酸化炭素資源化システムの開発
Project/Area Number |
21K20481
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 信義 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (30910070)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 二酸化炭素電解還元 / アミン |
Outline of Annual Research Achievements |
大気中の二酸化炭素(CO2)濃度増加に伴い、火力発電所などの発生源におけるCO2回収と、その還元による資源化が注目を集めている。現在、CO2は主にアミン吸着液により回収され、吸着液からの脱離を経た後に電解還元などを用いて炭化水素へ変換される。しかし、アミンによるCO2の吸脱着を連続的に行うためには、アミンの加熱・冷却に伴う大量の熱エネルギーが必要となる。そこで、このエネルギーロスを解決するため、CO2吸着アミンの直接電解によって回収・変換を同時に進行させるシステムの確立に向けた研究を行った。 前年度は、アミン吸着材として代表的なモノエタノールアミン(MEA)を含む水溶液中において、電解還元による吸着CO2の直接還元を試みたが、CO2還元による一酸化炭素(CO)生成反応の電流効率は1%以下であった。この時、可逆水素電極(RHE)基準で-1V以下という比較的大きな電圧を印可していたが、この条件では溶媒として用いた水の還元が進行し水素が発生してしまう。 そこで、水を使用せずMEAそのものを溶媒として用いることで水の還元による水素発生を抑制できると考え、CO2を吸着させたMEA中において銀メッキをほどこした銅電極を使用して電解還元を行った。複数の電位で測定を行った結果、いずれの電位においても流れた電流のうち全てが水素発生に使用されたことが分かった。今回、溶媒として水は使用しなかったため、発生した水素はMEA由来であり、CO2の吸着によって生じる余剰のプロトンによるものと考えられる。水中ではカリウムイオンがCO2電解還元を促進することが知られているため、MEA中にもカリウム塩を添加するなどしたが、改善は見られなかった。 本研究はCO2吸着材であるMEA自体が水素発生源であることを明らかにし、今後の指針として水素含有量の少ない吸着材の使用が示唆された。
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