2021 Fiscal Year Research-status Report
拡張蛍石層を新規ビルディングブロックとする酸ハロゲン化物光触媒ファミリーの開発
Project/Area Number |
21K20556
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 大地 京都大学, 工学研究科, 助教 (40906921)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 光触媒 / 酸ハロゲン化物 / バンド構造制御 / 蛍石ブロック |
Outline of Annual Research Achievements |
近年層状酸ハロゲン化物Bi4NbO8Clとそのファミリーが、高効率かつ安定な水分解光触媒 の候補として注目を集めている。ここ五年間の間に、ビルディングブロックの組み合わせや 順番を変えることで様々なBi4NbO8Clのファミリーが開発されたが、電子状態がBi2O2ダブル 蛍石層に支配されてしまっていたため、光触媒活性に大きな向上は見られなかった。本研究では、ダブル蛍石層にとらわれず、新たなビルディングブロックとして拡張蛍石層に着目した新物質開発を推進する。さらに、蛍石層の拡張が電子状態や活性に与える影響を、実験・理論の両面から解明することで、高効率な光触媒の設計指針を確立する。 本年度は主に、蛍石構造とハロゲン層の積層に着目した物質探索を行い、トリプル蛍石ブロックを有するBi3O4ClとBi2LaO4Clの固溶体の合成に成功した。Bi3O4ClおよびBi2LaO4Clは、トリプル蛍石層のネットワークがb軸方向に分断された構造を有しているが、その分断の間隔はそれぞれn = 1,2であることが知られていた。これら2つの固溶体を作成したところ、蛍石ブロックの分断がある2つの物質の固溶系であるにも関わらず、興味深いことに蛍石ブロック内の分断が消失した構造が発現することを見出した。さらに、蛍石ブロックの分断が消失した構造では、光励起キャリアの伝導度が大きく向上することを見出した今後は、これらの物質、光触媒活性等を検討していくとともに、さらなる新物質開発に注力する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の申請書で計画していた戦略を元に、複数の新物質の発見を行い、それらが光触媒材料として機能することを見出している。 さらに、高効率な水分解光触媒として近年盛んに研究されているBi4NbO8Brに関して、報告されている構造の誤りを発見し、真の構造を見出すことで、さらなる光触媒活性向上への知見を提案するなど、当初の計画には無かった結果も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、蛍石ブロックと塩化物層の組み合わせに着目した新物質開発を行うとともに、層の組み合わせや数などが、光触媒特性に及ぼす影響を詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
昨年度は半年間で期間が短かったため、 試薬やガスなどの消耗品、電気炉などの合成用備品を主に購入の予定であったが、 既に研究室にあるもので十分であった。 また、予算の都合上2022年度の方が必要になると判断した。
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Research Products
(3 results)