2022 Fiscal Year Research-status Report
メタン排出削減とイネ生育促進を目指した微生物コンソーシアムの機能解明
Project/Area Number |
21K20570
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新庄 莉奈 名古屋大学, 生命農学研究科, 特任助教 (10908841)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
Keywords | メタン酸化細菌 / イネ / コンソーシアム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、16S rRNAアンプリコン解析による集積培養液の菌叢解析と、メタン酸化細菌と従属栄養細菌のイネへの共接種試験を行った。無窒素施肥水田圃場にて栽培したイネの根に由来する集積培養液(2-5次)からDNAを抽出し、16S rRNAアンプリコン解析を実施することで微生物群集構造の経時変化を調査した。その結果、タイプIIメタン酸化細菌(Methylocystaceae科)が優占する培養液では、Hyphomicrobium属やTerrimonas属の従属栄養細菌が集積され、タイプIメタン酸化細菌(Methylococcaceae科)が優占する培養液ではFlavobacterium属に近縁な従属栄養細菌が集積されることが明らかとなった。以上の結果から、培養液中に優占するメタン酸化細菌種によって共存する従属栄養細菌種が異なることが示された。 次に、メタン酸化細菌を従属栄養細菌と共にイネ苗に接種し、従属栄養細菌がメタン酸化細菌の定着やイネの養分獲得、生育に及ぼす影響を調査した。メタン酸化細菌(Methylocystis属)とイネの生育促進作用を持つ従属栄養細菌(Burkholderia属)の菌懸濁液をそれぞれ単独または混合してイネ苗に接種し、出穂期まで屋外でポット栽培した。その結果、イネの乾物重及び窒素濃度はBurkholderia属を単独または共接種した区において増加傾向にあったが、根におけるメタン酸化細菌遺伝子(pmoA)コピー数は処理区間に差はなかった。従って、従属栄養細菌はイネに定着し生育促進効果をもたらしたが、Methylocystis属メタン酸化細菌は根に定着しなかったと考えられた。今後、接種方法や栽培条件を再検討し、引き続きイネへの効果を検証する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
集積培養液の菌叢解析は計画通りに進めることができ、メタン酸化細菌と共存する従属栄養細菌種を絞り込むことができたが、イネへの菌の接種試験は更なる条件検討が必要と考えられるため。また単離した従属栄養細菌のゲノム解析が未実施であるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
単離した従属栄養細菌の全ゲノム解析を実施するとともに、集積培養液のメタゲノム解析を行い、メタン酸化細菌との相互作用に関わる従属栄養細菌の遺伝子群を明らかにする。さらに、メタン酸化細菌と従属栄養細菌のイネへの接種方法や栽培条件を再検討する。具体的には、菌の接種回数や土壌の種類の変更を予定している。
|
Causes of Carryover |
予定していたメタゲノム解析および従属栄養細菌の全ゲノム解析が未実施のため。次年度これらの解析を実施する際に使用する。
|
Research Products
(4 results)
-
-
-
[Presentation] 低メタン排出イネ品種における高活性メタン酸化細菌群の探索2022
Author(s)
新庄 莉奈, 大江 史花, Ma Xuping, 福嶋 大智, 梶浦 雅子, 常田 岳志, 橋本 駿, 三井 久幸, 佐藤 修正, 渡邉 健史, 浅川 晋
Organizer
日本微生物生態学会第35回大会
-