2021 Fiscal Year Research-status Report
人工林とその伐採が夜行性鳥類に及ぼす影響:発見率を考慮した全国規模での検証
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21K20599
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
河村 和洋 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 任期付研究員 (90911214)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 夜行性鳥類 / 人工林 / 広域分布 / 発見率 / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人工林が優占する景観も含む多地点調査を全国規模で行い、全国スケールでの夜行性鳥類各種の分布に対する成熟人工林と人工林伐採地の影響を天然林と比較して明らかにする。これにより、広域的な生物多様性の保全を考える上での人工林の重要性を考察する。 初年度となる本年度は、まず、来年度の全国調査に向けて多種を対象としたプレイバック調査、発見率を扱うモデルのレビューを行った。様々な種のさえずりを短時間ずつ順番に再生することで、効率的に多種の存在を確認できることをレビューとこれまでの調査データを整理することで明らかにした。データ整理を進めたことで、プレイバックを開始した時点で鳥類がいた位置と調査中の位置は大きく異なる場合があることが分かった(プレイバックによる鳥の誘因)。この結果を受けて、調査中の鳥の位置が変わらないことを仮定した解析方法から、調査地点に鳥が誘因されても密度が一定とみなせる範囲(誘因の効果が非常に小さいと考えられる半径400 m圏内)を対象とした解析方法に修正する方針で検討を重ねている。 初年度の最優先事項である調査地選定も完了した。具体的には、各都道府県の民有林のデータとオープン化されている国有林のデータを整理した。そして、GISを用いて、人工林に用いられる植栽樹種・気候・地形の異なる9地域(北海道、秋田、岩手、茨城・栃木、長野、奈良・三重、岡山・鳥取、高知・愛媛、宮崎)を選んだ。最終的には各地域において、周囲1 kmの天然林・成熟人工林・人工林伐採地の面積が様々な10~20個の調査地点を選んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度最も重要な目標である調査地選定が完了し、既存情報の整理により解析に用いるデータの一部を収集することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
夜行性鳥類の繁殖期(5月中旬~8月上旬)に、各地点でプレイバック調査を3回行う。調査範囲の外に出ている個体や鳴き返さない個体がいることを考慮した階層モデルを用いて、気候や地形、周囲の天然林、成熟人工林、人工林伐採地の面積と各種の分布の関係を解明する。
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Causes of Carryover |
コロナの状況を鑑みて、一度調査を控えたため。次年度にこの分の調査を追加で実施する。
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Research Products
(12 results)