2021 Fiscal Year Research-status Report
ツノゴケを用いた植物ホルモンKLの栄養繁殖制御因子としての祖先的機能の検証
Project/Area Number |
21K20649
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 秀政 東北大学, 生命科学研究科, 特任研究員 (30908059)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 植物 / コケ植物 / ツノゴケ / 頂端幹細胞 / 発生 / 栄養繁殖 / 植物ホルモン / KAI2-Ligand (KL) |
Outline of Annual Research Achievements |
KAI2-Ligand (KL)は、リガンド未同定であるものの存在が確実視される新規植物ホルモンである。KLの信号伝達は陸上植物の共通祖先で獲得され、今日の植物に広く保存されている。陸上植物進化の基部に位置する苔類ゼニゴケでは、KL信号伝達経路が栄養繁殖を調節することが明らかとなりつつある。本研究では、KL経路による栄養繁殖の調節がコケ植物の祖先種で確立されていたかを明らかにする。そのために、コケ植物の中でも早期に分岐したツノゴケ類と苔類ゼニゴケで比較解析を行う。 令和3年度には(1)ゼニゴケにおいてKL経路の標的となる遺伝子の探索、(2)ツノゴケ類ホウライツノゴケの実験系の確立と栄養繁殖において機能する遺伝子の探索に取り組んだ。 (1)ゼニゴケのKL応答誘導系を用いてRNA-seq解析を行い、進化的に保存された複数の標的遺伝子を同定した。特に注目すべき遺伝子について、機能改変株を作出して生理機能解析を進めている。 (2)ホウライツノゴケの効率的な培養条件を検討した。EdU取込みによる分裂細胞の可視化や共焦点顕微鏡による組織観察を行い、ホウライツノゴケの発生過程や栄養繁殖体形成のしくみを明らかにした。発生段階ごとのRNA-seq解析を行い、栄養繁殖体の形成時にKLの受容体遺伝子が発現上昇することを発見した。栄養繁殖制御の候補遺伝子も複数見つかっている。形質転換の条件を検討しており、でき次第、候補遺伝子の機能改変株を作出して生理機能を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼニゴケのKL応答誘導系でのRNA-seq解析から、KL経路の標的遺伝子を複数同定できた。特に注視すべき遺伝子のノックアウト株は作出できており、表現型解析の段階にある。 ホウライツノゴケの培養や発生の観察は予定通りに進んでいる。発生段階ごとのRNA-seq解析から、KL経路が栄養繁殖に関与することを示唆するデータが得られている。栄養繁殖の制御因子も複数見つかっている。一方、形質転換が当初予定していたプロトコルでは成功しておらず、引き続き条件検討を要する。 研究成果は、予定通りに国内学会や国際会議で発表できている。 以上の進捗状況を踏まえ、令和4年度中には予定していた研究を終えられる見込みであることから、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼニゴケに関して、作出したノックアウト植物の表現型観察を行う。 ホウライツノゴケに関して、これまでに得られた成果をまとめて国際誌に投稿する。形質転換は、当初予定していたアグロバクテリウム法の条件検討を継続するとともに、パーティクルガン法、PEG法などの代替手法も試みる。形質転換が可能となったら速やかにKL経路の遺伝子や栄養繁殖制御の候補因子を機能改変し、表現型を解析する。
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[Journal Article] Diminished Auxin Signaling Triggers Cellular Reprogramming by Inducing a Regeneration Factor in the Liverwort <i>Marchantia polymorpha</i>2022
Author(s)
Ishida S., Suzuki H., Iwaki A., Kawamura S., Yamaoka S., Kojima M., Takebayashi Y., Yamaguchi K., Shigenobu S., Sakakibara H., Kohchi T., Nishihama R.
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Journal Title
Plant and Cell Physiology
Volume: 63
Pages: 384~400
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] An Ancestral Function of Strigolactones as Symbiotic Rhizosphere Signals2021
Author(s)
Kodama K., Rich M.K., Yoda A., Shimazaki S., Xie X., Akiyama K., Mizuno Y., Komatsu A., Luo Y., Suzuki H., Kameoka H., Libourel C., Keller J., Sakakibara K., Nishiyama T., Nakagawa T., Mashiguchi K., Uchida K., Yoneyama K., Tanaka Y., Yamaguchi S., Shimamura M., Delaux P.M., Nomura T., Kyozuka J.
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Journal Title
bioRxiv
Volume: -
Pages: -
DOI
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