2021 Fiscal Year Research-status Report
長鎖非コードRNA;lincRNA-p21による糖尿病発症機構の解明
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21K20666
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
今坂 舞 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50759553)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 長鎖非コードRNA / 糖尿病 / lincRNA-p21 / p21 |
Outline of Annual Research Achievements |
生後5週齢には著しい低インスリン血症と耐糖能の低下を示し、15週齢には随時血糖値が平均400mg/dLを超えた(野生型は180mg/dL)。また発症の早いマウスでは生後4週齢頃から随時血糖値が200mg/dLを超える。そこでまず、膵β細胞の減少時期の特定とその過程を解析するために、発症前:出生直後(P0)から離乳時期(4週齢)にかけて膵組織の病理学的解析(HE染色、インスリンとグルカゴンでの免疫染色)を行った。出生直後(P0)および2週齢においては、膵島の形態や大きさ・β細胞の割合は野生型と比較して差は見られなかった。4週齢では膵島中のβ細胞の割合の減少や膵島が萎縮した病理像が観察された。したがって、胎児期の発生から出生時は正常であり、生後4週齢頃にβ細胞が減少することが示唆された。 また、隣接p21遺伝子の転写亢進機序の解明のため、内在性遺伝子座にてlincRNA-p21の代わりにEGFPを過剰発現させたマウスを作製したところ(当初は発症しないと予想)予想外にこのマウスもp21の発現上昇を伴って糖尿病を発症した。いずれの過剰発現マウスも内在性lincRNA-p21は残存しているため、転写産物やクロマチン構造の解析、内在性遺伝子の破壊マウスの作製等によって詳細な解析が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に用いる各種マウス系統の作製と維持は順調に進んでおり、実験結果も再現性を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、アポトーシスやインスリン炎、細胞周期の阻害など、β細胞の減少機序について詳細を解析する予定である。 また、lincRNA-p21によるp21の転写亢進機序に関しても、p53依存的とp53非依存的の両方の経路を考慮して解析を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
凍結胚の輸送と胚移植に時間を要し、マウスの準備が当初の予定より遅れてしまった。現在順調に繁殖しているため、当初の予定通り、マウスの購入・飼育費、各種解析に必要な試薬・消耗品の購入に使用する。
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