2021 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレス制御機構によるMemory Th2細胞形成を介した喘息悪化の機序解明
Project/Area Number |
21K20754
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小久保 幸太 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (20907711)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | Memory Th2細胞 / 酸化ストレス / Txnip / アレルギー性疾患 / 喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
喘息をはじめとするアレルギー性疾患の患者数は先進国、発展途上国を問わず増加の一途をたどっている。アレルギー性疾患の発症・悪化には、抗原と反応したeffector Th2細胞からのmemory Th2細胞形成が主要な役割を果たしている。我々は近年新たに、酸化ストレス除去機構の制御因子であるTxnipがmemory Th2細胞形成に必要であることを明らかにした。本研究ではマウス喘息モデルの病態形成に対するTxnipの働きを明らかにすることで、アレルギー性疾患および喘息の新規治療法開発への分子基盤の構築を目指した。 本研究は、酸化ストレス除去機構の制御因子であるTxnipを研究対象として用いることで、これまで未解明であった「喘息の病態形成における酸化ストレス量制御の役割」を明らかにすることを目的とした。これまでの研究により我々は、Txnipを欠損したTh2細胞では、酸化ストレス量が上昇し、アポトーシスが亢進することを発見している。また、Txnip欠損Th2細胞から形成されるmemory Th2細胞の数は、野生型と比較して減少することも確認している。つまり、Th2細胞中のTxnipは、酸化ストレス量を減少させることでアポトーシスを抑制し、memory Th2細胞形成を促進することが明らかとなった。以上のように、Txnipがmemory Th2細胞形成に影響することは新たな発見であり、酸化ストレス量の制御機構を標的としたアレルギー性疾患の新規治療法開発につながる可能性があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに我々は、Txnipの働きがマウス喘息モデルの病態に影響するか解析した。具体的には、T細胞特異的なTxnip欠損マウスに気道炎症を誘導した際に形成されるmemory CD4 T細胞数の測定、気道へ浸潤した炎症細胞数と炎症性サイトカイン量の測定を行った。そして、Th2細胞内のTxnip発現欠損が、酸化ストレス量とアポトーシスの増加を介して、memory Th2細胞数を減少させ、最終的にマウス喘息病態を減弱させることを確認した。 また、Txnip欠損の表現型とは反対に、Txnip過剰発現によってmemory Th2細胞数が増加する可能性を検討した。具体的には、まずレトロウィルスベクターを用いてEffector Th2細胞にTxnipを過剰発現させ、その後のmemory Th2細胞の形成過程における酸化ストレス量とアポトーシス、そして最終的に形成されるmemory Th2細胞数を測定した。そして、Txnip過剰発現 effector Th2細胞を移入したマウスにおいて、マウス喘息モデルを用いた際の病態が悪化することを確認した。 当初予定していた上記の実験に加えて、Txnipによる酸化ストレス除去の分子メカニズムについても検討を行った。そして、大変興味深いことに、Txnipが既知のチオレドキシン還元酵素による酸化ストレス除去機構ではなく、新規のメカニズムを介して酸化ストレスを除去し、memory Th2細胞の形成を促進していることを示唆する実験結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Txnipによる新規の酸化ストレス除去機構を探索するために、まずは遺伝子発現を解析する。具体的には、野生型Th2細胞とTxnip欠損Th2細胞を用いたsingle cell RNA-Seqを行う。memory Th2細胞の形成過程においては、effector Th2細胞様とmemory Th2細胞様の遺伝子発現パターンを示すTh2細胞が混在するため、細胞集団全体を用いた従来のRNA-Seqでは、どちらかの細胞集団内の変化のみを区別して検出することができない。しかし、single cell RNA-Seqでは、memory Th2細胞形成を開始した細胞集団に限定して、Txnip欠損による遺伝子発現変動を単一細胞レベルで詳細に解析できることが期待される。 続けて、発現変動していた酸化ストレス関連遺伝子群の上流にある転写因子に対して、ChIP-SeqとATAC-Seqによるエピゲノム解析を行うことで、Txnipがその転写因子と結合して酸化ストレス除去機構の遺伝子発現を制御している可能性を検討する。 さらに、上記の解析から検出された新規酸化ストレス除去機構の候補について、レトロウイルスによる遺伝子過剰発現系を用いて検討する。具体的には、Txnip欠損Th2細胞において発現変動した酸化ストレス除去関連の遺伝子に関して、上流の転写因子の中で発現低下していたものを過剰発現させて、Txnip欠損の表現型が回復するのか評価する。評価項目としては、Txnip欠損Th2細胞中の酸化ストレス量とアポトーシス(Annexin V+ 細胞の割合)を用いる。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Nematode ascarosides attenuate mammalian type 2 inflammatory responses2022
Author(s)
Shinoda Kenta、Choe Andrea、Hirahara Kiyoshi、Kiuchi Masahiro、Kokubo Kota、Ichikawa Tomomi、Hoki Jason S.、Suzuki Akane S.、Bose Neelanjan、Appleton Judith A.、Aroian Raffi V.、Schroeder Frank C.、Sternberg Paul W.、Nakayama Toshinori
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences
Volume: 119(1)
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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