2022 Fiscal Year Research-status Report
オルガノイドによる食道癌発生予防を目指した新規治療薬開発
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21K20842
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
下之薗 将貴 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (40814322)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | オルガノイド / 遺伝子プロファイル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに樹立された頭頸部正常上皮オルガノイド、異型上皮オルガノイドおよび扁平上皮癌オルガノイドを用いて、遺伝子学的な解析を行った。正常上皮オルガノイドはコピー数変異を示さなかったが、癌オルガノイドは多くのコピー数変異を示し、異型上皮オルガノイドはその中間の傾向を示した。食道癌で最も高頻度の遺伝子変異であるp53変異については、正常上皮オルガノイドでは変異率0%、異型上皮オルガノイドでは変異率50%、癌オルガノイドでは変異率100%であった。その他多くの遺伝子変異が癌オルガノイドより検出され、遺伝子発現プロファイルでは正常上皮、癌で明らかなクラスターを形成し、異型上皮オルガノイドはその中間に位置した。これらの結果は、オルガノイドが正常上皮、異型上皮、癌の遺伝子的背景を再現することを示したと共に、異型上皮がすでに癌関連の遺伝子変異を抱えているという興味深い事実を示した。 また、2022年度には新たに5種の正常細胞由来オルガノイド、7種類の癌細胞由来オルガノイドを樹立した。これらの細胞株からの遺伝子抽出も施行しており、上記の遺伝子プロファイルに加える予定である。 癌オルガノイドを用いて、多数の分子標的薬の薬剤感受性試験をハイスループットに実施可能なプラットフォームの樹立も試みており、遺伝子解析の結果を基に、新たな治療標的となる分子・分子経路の絞り込みを行うと共に、薬剤感受性試験の結果から癌治療に有用な分子標的薬の同定を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床検体採取状況が予定よりも少なく、サンプル数が不足している。 引き続き症例蓄積を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き正常上皮、異型上皮、癌由来のオルガノイドを樹立し、オルガノイドライブラリの拡充を目指すと共に、随時遺伝子解析を行い、遺伝子プロファイルを行う。癌オルガノイドを用いて、多数の分子標的薬の薬剤感受性試験をハイスループットに実施可能なプラットフォームの樹立も試みており、遺伝子解析の結果を基に、新たな治療標的となる分子・分子経路の絞り込みを行うと共に、薬剤感受性試験の結果から癌治療に有用な分子標的薬の同定を行っていく。
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Causes of Carryover |
症例蓄積が想定より時間がかかっており、実験費用および解析費用などが余剰している。 次年度に解析を予定する。
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